この記事でわかること
- 神奈川県58市区町村の外国人比率ランキングTOP20
- 横浜市中区・箱根町・愛川町・川崎市川崎区など注目エリアの国籍別内訳と背景
- 国籍別(中国・韓国・ベトナム・フィリピン・ネパール)の集住エリアランキング
「横浜といえば中華街」——そんなイメージを持っている方は多いと思います。
でも、神奈川県の外国人居住の実態は横浜中華街だけでは語れないくらい、ずっと多様です。観光地・箱根の旅館街、工場地帯・愛川町の南米系コミュニティ、川崎区の多国籍な下町。神奈川の各エリアには、それぞれ異なる背景と歴史を持つ外国人コミュニティが根を張っています。
2025年6月末時点で、神奈川県に住む在留外国人は306,363人。
住民基本台帳人口(2023年)9,208,688人に占める割合は3.3%、約30人に1人が外国人という計算になります。たとえば30人規模のクラスや職場であれば、そのうち1人が外国籍という感覚でしょうか。
横浜・川崎という大都市を擁する神奈川県は、東京23区ほど高い比率ではないものの、全国的に見ても在留外国人の多い地域のひとつです。上位を見ると、1位は横浜中華街を持つ横浜市中区(12.9%)、2位には意外にも観光地・箱根町(12.1%)が入っています。
この記事では、神奈川県内の全市区町村を外国人比率で並べたランキングをもとに、数字の背景にある歴史・産業・コミュニティの姿を読み解いていきます。
神奈川県・外国人比率ランキングTOP20
在留外国人の多さを測るものさしは大きく2つあり、それは人数と比率です。人数が多い地域は総人口も多いことが多く、比率で見ると意外なエリアが上位に浮かび上がることがあります。
ここでは、神奈川県で住民基本台帳人口に占める在留外国人の割合が高い順にランキング化しました。横浜市や川崎市の区部だけでなく、箱根町・愛川町・中井町など、比率で見ると意外な自治体も上位に入っています。

| 順位 | 市区町村 | 在留外国人数 | 住基人口(2023年) | 外国人比率 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 横浜市中区 | 19,901人 | 154,056人 | 12.9% | 約8人に1人 |
| 2 | 箱根町 | 1,319人 | 10,907人 | 12.1% | 約8人に1人 |
| 3 | 愛川町 | 3,891人 | 39,498人 | 9.9% | 約10人に1人 |
| 4 | 川崎市川崎区 | 21,356人 | 232,922人 | 9.2% | 約11人に1人 |
| 5 | 横浜市南区 | 14,373人 | 200,169人 | 7.2% | 約14人に1人 |
| 6 | 綾瀬市 | 5,557人 | 84,100人 | 6.6% | 約15人に1人 |
| 7 | 横浜市西区 | 6,688人 | 105,137人 | 6.4% | 約16人に1人 |
| 8 | 横浜市鶴見区 | 18,077人 | 294,106人 | 6.1% | 約16人に1人 |
| 9 | 中井町 | 471人 | 8,932人 | 5.3% | 約19人に1人 |
| 10 | 厚木市 | 10,905人 | 223,940人 | 4.9% | 約20人に1人 |
| 11 | 川崎市幸区 | 7,633人 | 173,298人 | 4.4% | 約23人に1人 |
| 12 | 横浜市神奈川区 | 10,445人 | 243,726人 | 4.3% | 約23人に1人 |
| 13 | 横浜市磯子区 | 6,958人 | 166,143人 | 4.2% | 約24人に1人 |
| 14 | 大和市 | 9,240人 | 245,038人 | 3.8% | 約26人に1人 |
| 15 | 横浜市保土ケ谷区 | 7,479人 | 203,180人 | 3.7% | 約27人に1人 |
| 16 | 伊勢原市 | 3,680人 | 100,156人 | 3.7% | 約27人に1人 |
| 17 | 座間市 | 4,450人 | 131,356人 | 3.4% | 約29人に1人 |
| 18 | 清川村 | 94人 | 2,764人 | 3.4% | 約29人に1人 |
| 19 | 秦野市 | 5,190人 | 159,257人 | 3.3% | 約30人に1人 |
| 20 | 横浜市緑区 | 6,048人 | 181,773人 | 3.3% | 約30人に1人 |
※18位の清川村は在留外国人が94人と絶対数が少ないため、集住地とは言えません。
出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
外国人比率が高いエリア4選
1位・横浜市中区(外国人比率12.9%)——中華街が生んだ51%という数字
横浜市中区の在留外国人は19,901人、比率は12.9%、約8人に1人が外国籍という計算になります。

中国人が51.4%と突出している背景には、日本最大の中華街である横浜中華街(中区山下町周辺)の存在があります。幕末の開港以来、横浜には中国系の商人や職人が集まり、明治期にはすでに中華街の原型が形成されていたとされています(参照:横浜市史資料室)。現在も中国系の飲食店・商店・貿易会社が集積しており、就労・定住を目的とした中国人が多く居住していると考えられます。
注目したいのは、近年のネパール人の増加です。中区のネパール人は1,545人(7.8%)と、韓国・朝鮮籍に次ぐ第3位。飲食業や小売業、サービス業などを通じて、横浜中心部でもネパール人コミュニティの存在感が高まっています。古くからの「華僑の街」という枠を超え、多国籍なエネルギーが混ざり合うエリアへと進化しているのかもしれません。
2位・箱根町(外国人比率12.1%)——観光地の高比率は「働く外国人」の存在
箱根町の在留外国人は1,319人、比率は12.1%。約8人に1人が外国籍という数字は、観光地のイメージからすると意外に感じる方も多いのではないでしょうか。

「観光地に外国人観光客が多い」のではなく、「観光業を支える外国人就労者が多い」——これが箱根の実態です。ネパール人(30.4%)・ベトナム人(14.2%)・インドネシア人(10.8%)と、宿泊・飲食業で就労するアジア系の外国人が主体となっています。
温泉旅館やホテルが集積する箱根では、深刻な人手不足を背景に、宿泊・飲食業を支える外国人就労者の存在感が高まっていると考えられます。全国的に宿泊業界での外国人就労者の増加が報告されており(参照:観光庁「宿泊旅行統計調査」)、箱根もその流れを体現しているエリアのひとつなのだと思います。絶対数1,319人と少ない点には注意が必要です。
3位・愛川町(外国人比率9.9%)——関東に残る「日系南米人の街」
愛川町の在留外国人は3,891人、比率は9.9%、約10人に1人が外国籍です。

ペルー人18.1%・ブラジル人12.3%という南米系の存在が、このエリアの大きな特徴です。愛川町は相模川沿いに製造業が集積する工業地帯で、1990年の入管法改正(日系3世までの在留資格取得が可能に)以来、日系南米人が就労者として移り住んできた歴史があります(参照:法務省「出入国管理をめぐる近年の状況」)。
関東圏では珍しいこのコミュニティ形成は、滋賀県南部や東京都羽村市と同様の背景を持っています。今やペルーやブラジルとともに、ベトナム・フィリピン・スリランカなど東南アジア・南アジア系の人々も増加しており、工場地帯としての求人ニーズが、多彩な国籍の人々を引き寄せ続けているのかもしれません。
4位・川崎市川崎区(外国人比率9.2%)——「コリアンタウン」だけでは語れない多国籍の現在
川崎市川崎区の在留外国人は21,356人、比率は9.2%、約11人に1人が外国籍です。神奈川県内で在留外国人の絶対数が最も多いのも、この川崎区です。
「川崎=コリアンタウン」というイメージを持つ方も多いかと思いますが、データを見ると中国人(34.6%)が最多で、韓国・朝鮮籍(14.1%)は3番目です。ただし川崎区の桜本地区周辺には在日コリアンの歴史的コミュニティが根付いており、その存在感は数字以上に地域文化に刻まれています。戦前から続く歴史を持つこのコミュニティについては、川崎市や市民団体による記録・研究が積み重ねられています(参照:川崎市「川崎市多文化共生施策の推進」)。

近年はベトナム人(15.0%)・フィリピン人(10.5%)の増加が顕著で、製造業・サービス業での就労者が新たなコミュニティを形成しています。歴史的に形成された在日コリアンの街が、近年の就労系外国人の流入と重なり合い、より複合的な多国籍コミュニティへと変わりつつある——川崎区はそんな変化を体感できるエリアなのだと思います。
国籍別で見る外国人集住エリア
外国人比率や総数だけでなく、「どの国籍の人が多いか」で見ると、街の素顔がまた変わって見えてきます。神奈川県内の国籍別TOP5をそれぞれ確認してみましょう。
中国人が多い地域 TOP5

中国人の集住は、横浜のベイエリアに明確なかたまりをつくっています。中区(中華街)を中心に、南区・神奈川区・鶴見区と横浜市内の区が上位を占め、川崎市川崎区が2位に入ります。横浜港の開港以来積み重ねられてきた歴史的な流入と、近年の就労・留学による新たな流入が重なりながら、現在の分布が形成されていると考えられます。
韓国・朝鮮籍が多い地域 TOP5

川崎市川崎区が断然の1位です。桜本地区周辺の在日コリアンコミュニティは、戦前期の労働移住に起源を持つ歴史的な集住エリアで、現在も焼肉店や韓国食材店が軒を連ねる商店街が残っています。数字で見ると中国人に次ぐ3位ですが、地域に刻まれた歴史と文化の厚みは、単純な人数比較では測れないものがあります。
※朝鮮籍は統計上の区分です。ここでは韓国籍と朝鮮籍を合算しています。
ベトナム人が多い地域 TOP5
ベトナム人の分布で特徴的なのは、厚木市・大和市・相模原市中央区といった内陸の工業地帯に広がっていることです。

神奈川県中部から西部にかけての製造業集積地に、就労ビザや技能実習で来日したベトナム人が「働く場所」を求めて移り住んでいる実態が見えてきます。近年は特定技能制度の拡充により、ベトナムからの就労者数が全国的に増加傾向にあるとされています(参照:出入国在留管理庁「特定技能制度の現状」)。
フィリピン人が多い地域 TOP5

注目したいのは横須賀市(2位・1,954人)の存在です。横須賀市にはアメリカ海軍横須賀基地が置かれており、英語が通じやすい環境・米軍関係者向けサービス業・国際結婚などが複合的に重なり、フィリピン人の集住を生んでいると考えられます。英語圏の求心力が、フィリピン人の居住地選択に影響を与えているのは興味深い点ではないでしょうか。
ネパール人が多い地域 TOP5
ネパール人のランキングで際立つのは、横浜市の複数区にまたがった均一な分布です。

鶴見区・中区・神奈川区・西区と、横浜市内の区が上位4位のうち3つを占めています。横浜市内の繁華街・商業地区で、飲食業・小売業・サービス業などを通じて地域との接点を広げてきた様子が、この分布からうかがえます。日本のネパール人コミュニティは2010年代以降に急増しており、神奈川県もその受け皿になっているエリアのひとつなのだと思います。
まとめ
神奈川県の外国人居住の実態を比率・国籍別に見てきました。ランキングを一通り眺めると、「外国人が多い街」という言葉では到底まとめられない多様さが浮かび上がってきます。
横浜中華街を擁する中区の中国人コミュニティ、観光旅館を支えるアジア系就労者の集まる箱根町、入管法改正の歴史と共に南米系日系人が根を張った愛川町、歴史的在日コリアンコミュニティと新来の多国籍就労者が交差する川崎区——それぞれが異なる時代背景と産業構造の上に成り立っています。
「外国人が多い」という共通点の裏に、まったく異なる歴史・文化・産業がある。数字を出発点に、それぞれの街のことを少し深く知っていくと、神奈川という土地の見え方が変わってくるかもしれません。あなたが住んでいる街のランキングや国籍構成は、どうだったでしょうか。
関東の他の都県を見る
- 東京23区で外国人が多い区ランキング
- 埼玉県で外国人が多い街ランキング
- 千葉県で外国人が多い街ランキング
- 茨城県で外国人が多い街ランキング
- 東京23区の在留外国人を在留資格・年齢別に分析
- 神奈川県の在留外国人を在留資格・年齢別に分析
- 埼玉県の在留外国人を在留資格・年齢別に分析
補足:数字を見るときに気をつけたいこと
比率で見るか、人数で見るかで順位は変わる
この記事では「外国人比率」を基準にランキングしています。なので、1位は横浜市中区(12.9%)になります。でも人数だけで見ると、実は川崎市川崎区が21,356人でトップです。人口が多い地域では、比率がそこまで高くなくても、在留外国人の人数は多くなります。ここは、数字を見るときに少し注意したいところです。
国籍別の数字だけでは、街の全部はわからない
国籍別の人数を見ると、「この地域にはこの国の人が多いんだ」と分かります。ただ、同じ国籍でも、留学で来ている人、仕事で来ている人、家族で暮らしている人、長く日本に住んでいる人など、背景はさまざまです。なので、数字はあくまで入口です。そこから街の歴史や暮らし方を見ていくと、だんだん面白くなってくるのだと思います。
「外国人が多い街」といっても、中身はかなり違う
横浜市中区は中華街を核とした中国人コミュニティ、箱根町は温泉旅館・ホテルを支えるアジア系就労者、愛川町は製造業と共に定着した南米系日系人、川崎市川崎区は歴史的な在日コリアンコミュニティと新来の多国籍就労者が共存しています。同じ「外国人が多い街」でも、背景まで見るとかなり印象が変わります。
データの時点は完全にはそろっていない
今回使っているデータは、在留外国人数が2025年6月末時点、住民基本台帳人口が2023年のものです。そのため、外国人比率は厳密な最新値というより、「地域ごとの傾向を見るための目安」として見てもらえるとよいと思います。
データ出典・補助出典
出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」住民基本台帳人口(2023年)
観光庁「宿泊旅行統計調査」
出入国在留管理庁「特定技能制度の現状」
川崎市「川崎市多文化共生施策の推進」