この記事でわかること
- 長野県77市区町村の外国人比率ランキングTOP20
- 川上村・白馬村・松本市・諏訪市など注目エリアの国籍別内訳と背景
- 国籍別(中国・ベトナム・フィリピン・インドネシア・ブラジル・韓国朝鮮籍)の集住エリアランキング
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データ出典
- 在留外国人数:法務省 在留外国人統計(2025年6月末時点)
- 総人口:総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」掲載の住民基本台帳人口(2023年)
長野県の在留外国人の現状
長野県内に暮らす在留外国人の合計は、最新のデータで48,288人となっています。
2023年時点の住民基本台帳人口(2,028,135人)から算出した外国人比率は2.38%となり、県全体では「約42人に1人」が外国籍という計算です。長野県には全部で77の市区町村がありますが、地域ごとに非常に個性豊かなコミュニティが形成されているのが特徴です。
この比率自体は、東京23区(平均6.7%)や隣接する製造業県の群馬県(4.55%)ほど高くはありません。しかし、長野県のランキングを紐解くと「農業型」「リゾート型」「製造業型」という、産業背景に紐づいた3つの明確な集住パターンが浮かび上がってきます。国籍別では中国(8,521人)、ベトナム(7,577人)、フィリピン(5,758人)、インドネシア(4,926人)、ブラジル(4,652人)が上位5カ国となっています。
特に注目すべきは、比率1位の川上村です。35.95%という数字は「約3人に1人が外国籍」であることを示しており、これは全国的に見ても際立った存在感です。山岳地帯から農村、観光地まで、多様な顔を持つ長野県ならではの「多文化共生」の今を詳しく見ていきましょう。
※在留外国人数(2025年6月)と住基人口(2023年)は調査時点が異なるため、実際の比率は本記事の数値より若干高い可能性があります。
外国人比率ランキングTOP20
| 順位 | 市区町村 | 在留外国人数 | 住基人口(2023年) | 外国人比率 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 川上村 | 1,345人 | 3,741人 | 35.95% | 約3人に1人 |
| 2 | 南牧村 | 713人 | 3,017人 | 23.63% | 約4人に1人 |
| 3 | 白馬村 | 1,099人 | 9,159人 | 12.00% | 約8人に1人 |
| 4 | 小谷村 | 212人 | 2,726人 | 7.78% | 約13人に1人 ※ |
| 5 | 野沢温泉村 | 244人 | 3,524人 | 6.92% | 約14人に1人 ※ |
| 6 | 小海町 | 196人 | 4,247人 | 4.62% | 約22人に1人 ※ |
| 7 | 宮田村 | 389人 | 8,794人 | 4.42% | 約23人に1人 ※ |
| 8 | 坂城町 | 618人 | 14,132人 | 4.37% | 約23人に1人 |
| 9 | 軽井沢町 | 930人 | 21,599人 | 4.31% | 約23人に1人 |
| 10 | 北相木村 | 27人 | 659人 | 4.10% | 約24人に1人 ※ |
| 11 | 飯島町 | 338人 | 8,955人 | 3.77% | 約26人に1人 ※ |
| 12 | 阿智村 | 224人 | 5,989人 | 3.74% | 約27人に1人 ※ |
| 13 | 御代田町 | 617人 | 16,551人 | 3.73% | 約27人に1人 |
| 14 | 箕輪町 | 868人 | 24,463人 | 3.55% | 約28人に1人 |
| 15 | 諏訪市 | 1,698人 | 48,008人 | 3.54% | 約28人に1人 |
| 16 | 上田市 | 5,155人 | 152,484人 | 3.38% | 約30人に1人 |
| 17 | 山ノ内町 | 379人 | 11,398人 | 3.33% | 約30人に1人 ※ |
| 18 | 伊那市 | 2,043人 | 65,357人 | 3.13% | 約32人に1人 |
| 19 | 小諸市 | 1,229人 | 41,521人 | 2.96% | 約34人に1人 |
| 20 | 富士見町 | 413人 | 14,209人 | 2.91% | 約34人に1人 ※ |
※小谷村(212人)・野沢温泉村(244人)・小海町(196人)・宮田村(389人)・北相木村(27人)・飯島町(338人)・阿智村(224人)・山ノ内町(379人)・富士見町(413人)は在留外国人の絶対数が少ないため、実生活上の多文化共生の実態と比率には乖離があります。
注目エリア4選
①川上村(外国人比率35.95%)
「3人に1人が外国籍」——そんな驚くべき数字を持つ川上村は、長野県の比率ランキングで断然の1位を誇ります。
八ヶ岳南麓に広がるこの村で、全体1,345人のうち実に64.5%にあたる868人がインドネシア籍というデータは非常に印象的です。
特筆すべきは、その集中の度合いです。長野県全体に住むインドネシア籍4,926人のうち、川上村だけで全体の17.6%を占めています。さらに比率2位の隣村・南牧村(23.63%・713人、うちインドネシア籍355人)と合わせると、県内のインドネシア籍の24.8%がこの八ヶ岳南麓の2村に集まっていることになります。日本一のレタス産地として知られるこの地域の産業背景が、集住を支えているとみられます。他の「農業型」エリアと比較しても、これほど単一国籍が集中する構成は極めて際立っています。
| 順位 | 国籍 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | インドネシア | 868人 | 64.5% |
| 2 | ベトナム | 189人 | 14.1% |
| 3 | フィリピン | 120人 | 8.9% |
| 4 | 中国 | 61人 | 4.5% |
| 5 | カンボジア | 47人 | 3.5% |
| 6 | ミャンマー | 39人 | 2.9% |
| 7 | 韓国・朝鮮籍合算 | 9人 | 0.7%(韓国8人+朝鮮1人) |
②白馬村(外国人比率12.00%)
1998年長野オリンピックの舞台となった白馬村は、現在「英語が飛び交う村」としての意外な一面を持っています。
比率12.00%、約8人に1人が外国籍というこの数字を支えているのは、オーストラリア籍を中心とした英語圏のコミュニティです。
目を引くのが、全県に763人いるオーストラリア籍のうち、白馬村だけで396人(51.9%)と過半数が集中している点です。隣接する野沢温泉村(101人)や小谷村(57人)を含めると、長野北部のスキーリゾートエリアだけで県内のオーストラリア籍の72.6%(554人)が集まっています。内訳を見ると、オーストラリア(36.0%)を筆頭に、英国(7.6%)、カナダ(3.5%)、ニュージーランド(3.1%)と、英語圏だけで全体の約50%を占めます。これは北海道の倶知安・ニセコと並ぶ、全国屈指の「英語圏型リゾート集住地」といえるでしょう。リゾート・観光関連産業が集積するエリアとして知られ、産業背景が集住を支えているとみられます。
| 順位 | 国籍 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | オーストラリア | 396人 | 36.0% |
| 2 | 中国 | 96人 | 8.7% |
| 3 | 台湾 | 84人 | 7.6% |
| 4 | 英国 | 84人 | 7.6% |
| 5 | ネパール | 53人 | 4.8% |
| 6 | 米国 | 40人 | 3.6% |
| 7 | フィリピン | 40人 | 3.6% |
| 8 | カナダ | 39人 | 3.5% |
| ニュージーランド | 34人 | 3.1% | |
| 韓国・朝鮮籍合算 | 20人 | 1.8%(韓国20人+朝鮮0人) |
③松本市(外国人比率2.06%)
国宝松本城を擁し、北アルプスの玄関口として知られる松本市。
比率こそ2.06%と県内上位ではありませんが、在留外国人の絶対数4,862人は上田市に次ぐ県内2位の規模を誇ります。
最大の特徴は、県内最多となる韓国・朝鮮籍コミュニティの存在です。合算で852人(17.5%)にのぼり、中でも朝鮮籍101人という数字は他の自治体より突出しています。観光・商業・教育機能が集積する中核都市として、多様な歴史や背景を持つ人々が集まる土壌があると言えます。データを見ると、中国、フィリピン、ベトナム、ネパールなど、9カ国以上の国籍がバランスよく分散しており、都市型の多文化コミュニティが形成されていることがわかります。
| 順位 | 国籍 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 中国 | 968人 | 19.9% |
| 2 | 韓国・朝鮮籍合算 | 852人 | 17.5%(韓国751人+朝鮮101人) |
| 3 | フィリピン | 594人 | 12.2% |
| 4 | ベトナム | 546人 | 11.2% |
| 5 | ネパール | 348人 | 7.2% |
| 6 | ブラジル | 286人 | 5.9% |
| 7 | インドネシア | 248人 | 5.1% |
| 8 | タイ | 217人 | 4.5% |
| 9 | ミャンマー | 148人 | 3.0% |
④諏訪市(外国人比率3.54%)
諏訪大社の門前町や諏訪湖畔の温泉地として情緒豊かな諏訪市ですが、実は県内上位の外国人集住地という側面を持っています。比率は3.54%、約28人に1人が外国籍という数字は、観光地の印象とはまた違った街の活気を物語っています。
内訳を見ると気づくのが、そのバランスの良さです。フィリピン(19.1%)、ブラジル(16.5%)、ベトナム(16.0%)、中国(15.4%)の上位4カ国がほぼ横並びで構成されています。この「均等な多国籍構成」は、精密機器・光学機器産業が古くから集積する諏訪地域ならではの特徴です。製造業関連の産業背景が人々の生活を支え、観光地の華やかさと「ものづくりの街」としての多文化共生が共存している——そんな意外な層の厚さが諏訪の魅力と言えるでしょう。
| 順位 | 国籍 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | フィリピン | 325人 | 19.1% |
| 2 | ブラジル | 281人 | 16.5% |
| 3 | ベトナム | 272人 | 16.0% |
| 4 | 中国 | 262人 | 15.4% |
| 5 | インドネシア | 112人 | 6.6% |
| 6 | ネパール | 89人 | 5.2% |
| 7 | 韓国・朝鮮籍合算 | 91人 | 5.4%(韓国84人+朝鮮7人) |
| 8 | ミャンマー | 61人 | 3.6% |
| 9 | スリランカ | 54人 | 3.2% |
国籍別ランキング
以下は各市区町村に居住する、当該国籍の人数ランキングです。
中国人が多い街TOP5

中国籍の分布で印象的なのは、長野市の存在感です。1位の長野市(1,448人)は2位・松本市(968人)を約480人上回り、県内中国籍人口(8,521人)の約17.0%が集中しています。信州大学のキャンパスを擁し、県庁や金融機関が集積する県都という性格が、留学・就労・定住の各ステージで幅広い層を引き寄せているとみられます。
一方、注目したいのが2〜4位の松本市(968人)・上田市(935人)・飯田市(850人)の拮抗ぶりです。3都市の差はいずれも100人以内と僅差で、精密機器・電子部品などの製造業が集積しているという共通点を持ちます。定住志向が高く在留期間の長い傾向にある中国籍にとって、子どもの教育環境や生活インフラが整った都市部への集積は自然な選択といえるでしょう。ただし、数字の多くに留学生の住民登録が含まれている可能性があり、大学の入退学シーズンによって人数が変動することには留意が必要です。上位4都市を重点拠点として中国語対応の相談窓口を整備するなど、効率的な多文化共生施策が描きやすい分布でもあります。
ベトナム人が多い街TOP5

ベトナム籍のTOP5を見ると、1位・長野市(816人)・2位・松本市(546人)と主要都市が続く一方で、4位に中野市(428人)が入っているのが目を引きます。中野市は大都市ではありませんが、りんごやぶどうの産地として知られる果樹農業の一大拠点。農業分野での就労がベトナム籍の集住を支えているとみられます。
1位の長野市でも全県比率は約10.8%と、特定の1都市への集中度が低く、県内の幅広いエリアに散らばっているのがベトナム籍の特徴です。農業・製造業・サービス業と就労先が多様なぶんだけ居住地も分散しやすい一方、支援が必要な場所が点在しており、行政の目が届きにくいエリアが生まれやすいという課題も抱えています。地方部への分散が進む中で、小規模な市町村における日本語教育や生活相談体制の整備が、今後の重要なテーマになるでしょう。
フィリピン人が多い街TOP5

フィリピン籍では、1位が長野市でも上田市でもなく松本市(594人)になる点が他の国籍と異なる顔を見せます。続く飯田市(468人)・長野市(433人)・伊那市(368人)・塩尻市(355人)と、南信〜中信エリアへの集積が顕著です。飯田・伊那・塩尻という「南信ライン」は、精密部品・電子機器・自動車関連部品の製造業が連なるエリアと重なります。
フィリピン籍は製造業での就労に加え、介護・医療・サービス業など産業の裾野が広いぶんだけ集住地も広がりやすい傾向があります。また、日本人配偶者を持ち長期定住するケースも多く、生活環境の整った中規模都市が定住先として選ばれやすいといえます。安定した定住者が多い反面、家庭内に孤立しがちな単身世帯や配偶者への生活相談体制の整備も重要な課題として残ります。
インドネシア人が多い街TOP5

インドネシア籍のTOP5で最も目を引くのは、1位・川上村の868人という数字です。全県のインドネシア籍(4,926人)の約17.6%が、人口わずか3,741人の一村に集中しています。日本一のレタス産地として知られるこの村での農業就労が背景にあり、中国籍・ベトナム籍・フィリピン籍のような「主要都市への分散」とは全く異なる「農業型一点集中」のパターンを形成しています。
2位の上田市(478人)以下は川上村との差が歴然としており、川上村・南牧村の2村だけで県内インドネシア籍の24.8%が集中します。この極端な集中は、受け入れ農家や農協を通じた組織的な招聘が機能している証ともいえますが、雇用主や特定産地に生活の全てが依存しやすいという構造的な脆弱性も同時に意味しています。農繁期・農閑期で人数が大きく変動する可能性がある点も、数字の読み方として留意が必要です。だからこそ、受け入れ農家・農協と行政が連携した生活支援の仕組みが特に強く求められるエリアといえるでしょう。
ブラジル人が多い街TOP5

ブラジル籍のTOP5で目を引くのは、上位3都市の地理的なまとまりです。1位・伊那市(713人・全県比15.3%)、2位・上田市(688人・同14.8%)、3位・箕輪町(347人・同7.5%)と、天竜川沿いの伊那谷エリアに沿って「南米系製造業ベルト」が連続して形成されているのがわかります。
自動車関連部品・電子機器・精密機械などの製造業が集積するこの地域への集住は、群馬県の大泉町や太田市で見られるパターンと重なります。長野では伊那谷がその舞台となっています。
また、1位・伊那市と2位・上田市の差はわずか25人と極めて拮抗しており、2都市がほぼ同規模のブラジル籍コミュニティを形成していることも特徴的です。4位・松本市(286人)・5位・諏訪市(281人)も僅差で並んでおり、製造業が連なる中信〜南信エリア全体に底厚く分布している様子が見てとれます。1990年代の日系ブラジル人受け入れ拡大から30年以上が経過し、地域に深く根を張った定住コミュニティが形成されているエリアも多く、子どもや孫の世代への教育支援・キャリア支援が次の重要課題として浮かび上がっています。
韓国・朝鮮籍が多い街TOP5

韓国・朝鮮籍では、松本市(852人)が長野市(511人)を大きく引き離して1位となるのが際立った特徴です。特に注目すべきは松本市における朝鮮籍101人という数字で、これは県内で突出して高く、戦前から続くオールドカマーのコミュニティが長年にわたって松本市に根を張ってきた歴史的背景を示しています。
2位・長野市(511人)・3位・上田市(274人)・4位・安曇野市(159人)・5位・千曲市(139人)と、主要都市・地方中核都市への集中が続きます。産業就労を主な動機として集住するパターンとは異なり、数世代にわたる定住・家族の広がりによって人口が形成されているケースが多く、コミュニティとしての「厚み」は他の国籍と一線を画します。長く地域に根ざしてきたこのコミュニティが、新たに来日する人々のサポート資源としての役割も担えるよう、既存コミュニティと新規流入者をつなぐ支援の在り方が問われています。
※朝鮮籍は統計上の区分です。括弧内は内訳(韓国籍+朝鮮籍)を示します。
データ出典・免責事項
本記事に掲載しているデータは、公的統計に基づく数値です。特定の地域や人々への評価・優劣の判断を目的とするものではありません。また、在留外国人数(2025年6月)と住民基本台帳人口(2023年)は調査時点が異なるため、実際の比率と若干の差異が生じる場合があります。