この記事でわかること
- 埼玉県内72市区町村の外国人比率ランキングTOP20:意外な1位と2位の差
- 「比率の蕨」と「人数の川口」の違い:数字の裏側にある地域特性
- 注目エリア4選の背景:蕨・川口・八潮・草加に特定の国籍が集まる理由
- 国籍別の集住エリア傾向:中国人・韓国・朝鮮籍・ベトナム人・フィリピン人・ネパール人が多い地域
埼玉県の街を歩いていると、海外の街角にいるような雰囲気を感じる場面に出会うことがあります。
西川口に並ぶ中華料理店の香りや、蕨の住宅街で見かける多国籍な看板。東京のすぐ隣にありながら、独自の国際色を深めているのが今の埼玉の姿です。
埼玉県の在留外国人は、277,209人。
この数字を見たとき、正直「そんなにいるの?」と思ってしまいました。
県の人口に対する比率は3.8%で、これはおよそ26人に1人が外国人という計算になります。
学校の1クラスに1人か2人は外国にルーツを持つ人がいる、そんな日常が当たり前になりつつあるのかもしれません。
今回は最新の統計データ(2025年6月末時点)をもとに、埼玉県で暮らす外国籍住民の分布や、その背景をデータから見ていきます。
埼玉県・外国人比率ランキング(全72市区町村)
ランキングを見る前に知っておきたいのが、「比率」と「人数」では街の表情がガラリと変わるということです。比率が高い街はコミュニティの密度が濃く、人数が多い街は多様な国籍が混ざり合うダイナミズムがあります。

| 順位 | 市区町村 | 在留外国人数 | 住基人口(2023年) | 外国人比率 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 蕨市 | 10,435人 | 75,646人 | 13.8% | 約7人に1人 |
| 2 | 川口市 | 51,698人 | 606,315人 | 8.5% | 約12人に1人 |
| 3 | 戸田市 | 9,347人 | 142,163人 | 6.6% | 約15人に1人 |
| 4 | 八潮市 | 5,371人 | 93,065人 | 5.8% | 約17人に1人 |
| 5 | 神川町 | 723人 | 12,888人 | 5.6% | 約18人に1人 |
| 6 | 三郷市 | 7,516人 | 141,942人 | 5.3% | 約19人に1人 |
| 7 | 上里町 | 1,523人 | 30,549人 | 5.0% | 約20人に1人 |
| 8 | 羽生市 | 2,689人 | 53,855人 | 5.0% | 約20人に1人 |
| 9 | 草加市 | 12,334人 | 251,219人 | 4.9% | 約20人に1人 |
| 10 | 嵐山町 | 844人 | 17,516人 | 4.8% | 約21人に1人 |
| 11 | 東松山市 | 4,319人 | 91,094人 | 4.7% | 約21人に1人 |
| 12 | 本庄市 | 3,535人 | 77,285人 | 4.6% | 約22人に1人 |
| 13 | 坂戸市 | 4,201人 | 99,527人 | 4.2% | 約24人に1人 |
| 14 | さいたま市桜区 | 3,999人 | 96,466人 | 4.1% | 約24人に1人 |
| 15 | 和光市 | 3,318人 | 84,728人 | 3.9% | 約26人に1人 |
| 16 | 滑川町 | 741人 | 19,745人 | 3.8% | 約26人に1人 |
| 17 | 朝霞市 | 5,429人 | 144,964人 | 3.7% | 約27人に1人 |
| 18 | 加須市 | 4,138人 | 112,163人 | 3.7% | 約27人に1人 |
| 19 | さいたま市南区 | 7,148人 | 194,299人 | 3.7% | 約27人に1人 |
| 20 | 吉川市 | 2,533人 | 72,678人 | 3.5% | 約29人に1人 |
外国人比率が高いエリア4選
1位:蕨市(外国人比率 13.8%)
蕨市の最大の特徴は、その圧倒的な「密度」にあります。全国で最も面積が小さい(約5.1平方キロメートル)街に、約7人に1人が外国籍という環境は、日本全国を見渡しても極めて珍しいといえるでしょう。

この街で大きな存在感を持っているのが、全体の6割を超える中国出身の方々です。隣接する川口市(西川口エリア)のチャイナタウン的な勢いが蕨市にも波及しており、生活圏の中に深く中国コミュニティが根付いていることが伺えます。狭いエリアだからこそ、コミュニティの結びつきがより濃く感じられるのかもしれません。
2位:川口市(外国人比率 8.5%)
「外国人が多い街」として真っ先に名前が挙がるのが川口市です。
人数で見ると51,698人と県内でも群を抜いており、県内でも特に国際色の強い街のひとつといえます。

川口の面白さは、その多様性にあります。中国系が過半数を占める一方で、川口市ではトルコ出身者も1,439人おり、県内の他自治体と比べても目立つ存在です。都心へのアクセスの良さや、古くから多様な人が働き暮らしてきた地域性も、外国籍住民が集まる背景のひとつと考えられます。
3位:八潮市(外国人比率 5.8%)
八潮市は、蕨や川口とは少し異なる顔を持っています。
製造業や物流拠点が集まる工業集積地としての側面が、居住者の国籍構成に強く反映されています。

ここで注目すべきは、ベトナム出身者が最多(28.7%)である点です。蕨や川口が「中国系」中心なのに対し、八潮はベトナムやフィリピンなど東南アジア出身の方々の存在感が大きい街です。製造業や物流の集積と、外国籍住民の暮らしが結びついている点に特徴があります。
4位:草加市(外国人比率 4.9%)

草加市は、川口に次ぐ規模(12,334人)の外国人コミュニティを抱えるバランス型の街です。特定の国籍への極端な偏りがなく、アジア各国の出身者が程よいバランスで共存しています。東武伊勢崎線沿線の住宅都市として、都心へ通勤する層から地域で生活を営む層まで、多様なライフスタイルが混ざり合っているのが草加の特徴なのかもしれません。
国籍別で見る外国人集住エリア
「埼玉県」と一言で言っても、国籍によって集まる場所にははっきりとした傾向があります。
中国人が多い地域 TOP5

中国出身の方々は、川口・蕨・戸田といった荒川沿いのエリアに色濃く集中しています。JJR京浜東北線を使えば都心へすぐに出られる利便性が、大きな魅力となっていると考えられます。特に西川口から蕨にかけては、本格的な中華料理店や物販店が並び、中国系コミュニティの存在感が強いエリアです。
ベトナム人が多い地域 TOP5

ベトナム出身の方々は、川口を拠点にしつつも、川越や三郷など県内広域に分散しているのが面白いところです。川越市が2位に入っている背景には、工場などの就労先に加え、留学や生活拠点として選ばれている可能性も考えられます。
ネパール人が多い地域 TOP5

ネパールコミュニティで注目したいのは川越市です。川口に次ぐ規模でネパールの方が集まっており、市内のカレー店や、外国人支援を行うコミュニティが活発な様子が伺えます。
韓国・朝鮮籍が多い地域 TOP5

韓国・朝鮮籍の方々は川口市が最多ですが、草加・越谷・戸田・所沢と比較的広域に分布しているのが特徴です。歴史的な経緯もあり、特定の街に集中するというよりも、埼玉県内の各地に広く分布していると考えられます。
フィリピン人が多い地域 TOP5

フィリピン出身の方々は、東武線沿線エリアを中心に広く分布しています。川口・草加・越谷・川越・春日部と、いずれも住宅都市としての性格が強い街が並ぶのが特徴です。就労や家族滞在など、さまざまな背景で地域に暮らしていると考えられます。
まとめ
埼玉県の「外国人が多い街」を巡ってみると、そこには単なる「数字」だけでは語れない、その土地の歴史や産業と結びついた豊かな暮らしがありました。蕨の密度、川口の多様性、八潮の産業力。それぞれの街が持つ独自の背景が、世界中からやってきた人たちの生活を支えています。
自分の住む街には、どんな背景を持つ人たちが暮らしているのだろう。そんな視点で見てみると、いつもの街にも新しい一面が見えてくるかもしれません。
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補足:数字を見るときに気をつけたいこと
比率で見るか、人数で見るかで順位は変わる
この記事では「外国人比率」を基準にランキングしています。なので、1位は蕨市(13.8%)になります。でも人数だけで見ると、実は川口市が51,698人で圧倒的なトップです。人口が多い地域では、比率がそこまで高くなくても、在留外国人の人数は多くなります。ここは、数字を見るときに少し注意したいところです。
国籍別の数字だけでは、街の全部はわからない
国籍別の人数を見ると、「この地域にはこの国の人が多いんだ」と分かります。ただ、同じ国籍でも、留学で来ている人、仕事で来ている人、家族で暮らしている人、長く日本に住んでいる人など、背景はさまざまです。なので、数字はあくまで入口です。そこから街の歴史や暮らし方を見ていくと、だんだん面白くなってくるのだと思います。
「外国人が多い街」といっても、中身はかなり違う
蕨市、川口市、八潮市、草加市は、どれも外国人が多い街です。でも、中国系コミュニティが6割を占める蕨市、多国籍が共存する川口市、東南アジア系の存在感が大きい八潮市、アジア各国がバランスよく混在する草加市は、それぞれまったく違います。同じ「外国人が多い街」でも、背景まで見るとかなり印象が変わります。
データの時点は完全にはそろっていない
今回使っているデータは、在留外国人数が2025年6月末時点、住民基本台帳人口が2023年のものです。そのため、外国人比率は厳密な最新値というより、「地域ごとの傾向を見るための目安」として見てもらえるとよいと思います。
データ出典
法務省 出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」掲載の住民基本台帳人口(2023年)