この記事でわかること
- 福岡県72市区町村の外国人比率ランキングTOP20(2025年6月末時点)
- 「比率1位」と「人数1位」がなぜ異なるのか、その読み方
- 東区・博多区・小郡市・苅田町・久留米市など注目エリアの国籍別内訳と背景
- ベトナム人・中国人・ネパール人・韓国・朝鮮籍・フィリピン人・ミャンマー人の集住エリアランキング
福岡県の在留外国人統計を開いて、最初に目が止まったのが「ネパール 20,896人」という数字でした。2位の中国(22,371人)とほぼ並んでいる——「アジアの玄関口」というイメージとは、だいぶ違う景色です。
では実際のところ、どのくらいの規模で、どの地域に、どの国の人たちが暮らしているのか——データで見ていきたいと思います。
法務省の在留外国人統計(2025年6月末)によると、福岡県の在留外国人は119,392人。
住民基本台帳人口(2023年)5,135,214人に対する外国人比率は2.32%、つまり県内の約43人に1人が外国籍という計算になります。東京23区の6.7%と比べればまだ低い水準ですが、九州最大の経済圏として、着実に国際化が進んでいる様子が伝わってきます。
「アジアの玄関口」のイメージから、中国や韓国の方が多いと思われがちですが、実は今の福岡はちょっと違う顔を持っています。ベトナム(23,168人)、中国(22,371人)に次いで、第3勢力はネパール(20,896人)。中国とほぼ並ぶ規模で、ネパール人コミュニティが広がっています。この構造、少し意外に感じませんか。
この記事では、福岡県全72市区町村のデータをもとに、外国人比率の高い街のランキングと、注目エリアの国籍別構成・背景を丁寧に解説していきます。
福岡県・外国人比率ランキングTOP20
外国人比率とは「在留外国人数 ÷ 総人口」のこと。人数が多い街と、比率が高い街は必ずしも一致しません。
たとえば、県内で在留外国人が最も多いのは福岡市東区(15,182人)ですが、比率トップは博多区(5.54%)です。大きな街は人口も多いため、外国人が増えても比率には反映されにくい——そのあたりを念頭に置きながら見ていただけると、データがより立体的に見えてくると思います。

| 順位 | 市区町村 | 在留外国人数 | 住基人口(2023年) | 外国人比率 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 福岡市博多区 | 13,960人 | 252,034人 | 5.54% | 約18人に1人 |
| 2 | 福岡市東区 | 15,182人 | 322,503人 | 4.71% | 約21人に1人 |
| 3 | 大刀洗町 | 683人 | 15,521人 | 4.40% | 約22人に1人 |
| 4 | 苅田町 | 1,581人 | 37,684人 | 4.20% | 約23人に1人 |
| 5 | 福岡市中央区 | 7,258人 | 205,501人 | 3.53% | 約28人に1人 |
| 6 | 小竹町 | 249人 | 7,151人 | 3.48% | 約28人に1人 |
| 7 | 宮若市 | 913人 | 26,298人 | 3.47% | 約28人に1人 |
| 8 | 北九州市小倉北区 | 6,084人 | 183,407人 | 3.32% | 約30人に1人 |
| 9 | 福岡市南区 | 8,708人 | 265,583人 | 3.28% | 約30人に1人 |
| 10 | 久山町 | 296人 | 9,068人 | 3.26% | 約30人に1人 |
| 11 | 小郡市 | 1,891人 | 59,360人 | 3.19% | 約31人に1人 |
| 12 | 田川市 | 1,276人 | 46,203人 | 2.76% | 約36人に1人 |
| 13 | 朝倉市 | 1,333人 | 50,273人 | 2.65% | 約37人に1人 |
| 14 | 広川町 | 523人 | 19,969人 | 2.62% | 約38人に1人 |
| 15 | 北九州市若松区 | 1,992人 | 80,533人 | 2.47% | 約40人に1人 |
| 16 | 古賀市 | 1,402人 | 58,786人 | 2.38% | 約41人に1人 |
| 17 | 福岡市西区 | 4,894人 | 212,579人 | 2.30% | 約43人に1人 |
| 18 | 久留米市 | 6,643人 | 303,316人 | 2.19% | 約45人に1人 |
| 19 | 糸島市 | 2,148人 | 98,877人 | 2.17% | 約46人に1人 |
| 20 | 豊前市 | 523人 | 24,391人 | 2.14% | 約46人に1人 |
出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
※小竹町(249人・6位)・久山町(296人・10位)は比率上位ですが、在留外国人の絶対数が非常に少ないため、実生活上の多文化共生の実態と比率には乖離があります。大刀洗町(683人・3位)も同様に絶対数が少ない点にご留意ください。
外国人比率が高いエリア4選
① 福岡市東区・博多区|人数1位と比率1位、好対照な2つの顔
福岡県の国際化を牽引しているのが、この2区です。
「絶対数は東区が県内最多、比率は博多区が県内最高」——この対比がとてもわかりやすく、それぞれの街の個性を映し出しています。
福岡市東区(在留外国人:15,182人 / 比率:4.71% / 約21人に1人)

香椎・千早・箱崎など、九州大学の旧キャンパスや複数の専門学校を抱える東区は、留学生の受け皿として長らく機能してきた地域です。中国籍が約29%でトップを占めており、これは福岡市の中でも突出した割合と考えられます。ネパール籍も約26%と肉薄しており、多様な留学生コミュニティが共存しているのが東区の特徴と言えそうです。
福岡市博多区(在留外国人:13,960人 / 比率:5.54% / 約18人に1人)
比率で県内トップの博多区では、ネパール籍が約29%で1位です。
4,000人を超えるネパール人が暮らしている——この数字、少し想像してみてください。

博多駅から地下鉄で数駅圏内に、これほどの規模のネパール人コミュニティがあるんです。交通の便が良く、日本語学校や専門学校が集中する博多区は、留学生にとって生活しやすい環境が整っているとみられます(参照:出入国在留管理庁「外国人留学生の受け入れ状況等について」)。また、東区・博多区ともに韓国・朝鮮籍の割合が約12%と共通しているのも、ちょっと気になる点です。博多港を通じた往来の歴史を持つ福岡と、朝鮮半島・韓国とのつながりが、今もデータの上に残っているのかもしれません。
② 小郡市|ネパール人比率53%、筑後のベッドタウンに生まれた集住地
在留外国人:1,891人 / 比率:3.19%(約31人に1人)
小郡市に暮らす在留外国人のうち、2人に1人以上がネパール籍——この数字、ちゃんとイメージできますか?
53.6%というシェアは福岡県内でも突出していて、一般的なベッドタウンのイメージとはかなり違う構造になっています。

福岡市と久留米市の中間に位置し、西鉄天神大牟田線の主要駅を持つ小郡市。都市部へのアクセスが良好な一方で、家賃水準が都心より抑えられているという要素が、住まいを探す留学生に選ばれやすい背景のひとつになっている可能性があります。データから「なぜ小郡市なのか」を読み解いていくのが、なんだか楽しくなってきます。
③ 苅田町|製造業が呼ぶ東南アジアの人々、関門海峡のほとりで
在留外国人:1,581人 / 比率:4.20%(約23人に1人)

北九州市のすぐ東隣に位置する苅田町は、苅田港を擁する港湾・製造業の町です。ここではデータの構成が福岡市のそれとはまったく異なります。ネパール籍がほとんど見当たらず、代わりにベトナム(35.0%)とミャンマー(19.4%)の東南アジア2国で過半数(54.4%)を占めています。
製造・工業分野で技能実習生・特定技能人材として来日する方々の多くが東南アジア出身であることは、近年よく知られるようになってきました。苅田町のデータは、その傾向を非常に色濃く反映していると言えそうです(参照:出入国在留管理庁「技能実習・特定技能の在留資格に係る制度の在り方に関する有識者会議」)。
また、韓国・朝鮮籍が13.2%と高い点は、関門海峡を挟んだ北九州圏が持つ歴史的な背景と重なります。歴史的な往来の多さも、現在の分布を考えるうえで重要な背景のひとつと考えられます。
④ 久留米市|フィリピン人集住が際立つ、ゴムの街の意外な一面
在留外国人:6,643人 / 比率:2.19%(約45人に1人)
久留米市でまず目を引くのが、フィリピン籍の多さです。
1,433人という数は、2位の博多区(570人)の約2.5倍にあたり、県内では大きく突出しています。

久留米市はブリヂストンやアサヒシューズなどゴム・製造業の集積地として知られてきました。都市としての規模や産業の集積が、フィリピン出身の方々が長く暮らしてきた背景のひとつになっている可能性があります。数字だけ見ると「なんで久留米が?」と思いますが、街の歴史を知ると「なるほど」となる——そういう面白さがデータにはあると思います。
比率ランキングでは18位(2.19%)と控えめですが、在留外国人の絶対数は6,643人と県内5位の規模。都市としての厚みと、独自の多文化共生の歴史を持つ街と言えるのではないでしょうか。
国籍別で見る外国人集住エリア
地域によって、どの国籍のコミュニティが根付いているかは大きく異なります。各国籍のTOP5を見ていきましょう。
ベトナム人が多い地域 TOP5

ベトナム籍は県内で最も多い23,168人で、集住エリアも最も広いのが特徴です。博多区・東区といった福岡市の中枢エリアに多い一方で、久留米市(製造業)や小倉北区(北九州圏)にも大きなコミュニティが形成されています。学生から働く人まで、在留資格のバリエーションも幅広いと考えられます。福岡県の中で最も「裾野が広い」国籍と言えそうです。
中国人が多い地域 TOP5

中国籍のTOP5は福岡市の5区が独占しています。地下鉄・西鉄が走るアクセス良好なエリアへの集中が目を引きます。東区の4,357人というのは突出した数字で、留学・研究・就労など、さまざまな形で暮らしている方々がいるのでしょう。
ネパール人が多い地域 TOP5

ネパール籍の集住エリアを見ると、「留学生の街・福岡」という顔がくっきりと浮かび上がります。博多区・東区・南区と、日本語学校・専門学校が集中するエリアに圧倒的に集まっており、その傾向がデータにそのまま出ていると考えられます。近年のネパールからの留学生急増については、出入国在留管理庁も継続的なモニタリングを行っている状況です(参照:出入国在留管理庁「在留外国人統計」)。
韓国・朝鮮籍が多い地域 TOP5

韓国・朝鮮籍の分布で注目したいのは、北九州市(小倉北区・八幡西区)での存在感です。関門海峡を挟んで対岸に下関を望む北九州は、朝鮮半島との歴史的な往来が多かった地域。その背景が、現在のコミュニティの分布にも影響を与えていると考えられます。数字の向こうに、長い時間の流れがある——そんなふうに感じるデータです。
※朝鮮籍は統計上の区分です。括弧内は内訳(韓国籍+朝鮮籍)を示します。
フィリピン人が多い地域 TOP5

フィリピン籍のランキングは他とはかなり趣が異なります。久留米市が圧倒的な1位で、2位博多区の約2.5倍。久留米市の産業的な集積と都市としての規模が、フィリピン出身の方々が長く暮らしてきた背景のひとつになっている可能性があります。「工業都市とフィリピンコミュニティ」という組み合わせは、福岡県の中では久留米独自の顔と言えそうです。
ミャンマー人が多い地域 TOP5

ミャンマー籍は福岡市内に集中しているのが基本ですが、製造業エリアの苅田町が4位に入っているのが特徴的です。2021年の政変以降、ミャンマーからの在留者数は全国的に増加傾向にあるとされており、福岡県内でも今後の動向が注目されます(参照:出入国在留管理庁「在留外国人統計」)。
まとめ
「外国人が多い街」とひとくくりに言っても、その中身はまったく異なります。
比率トップの博多区と、人数トップの東区では、トップ国籍すら入れ替わります。
留学生の集まる小郡市はネパール一色に近い構成を見せ、製造業の苅田町は東南アジア2国で過半数を占め、歴史的なつながりを持つ北九州エリアでは韓国・朝鮮籍の存在感が際立ちます。そして久留米市には、ゴム産業の歴史と結びついたフィリピンコミュニティが根付いています。
街の産業や歴史、交通アクセス、教育機関の立地——そういった要素が複雑に絡み合って、今の福岡県各地のコミュニティのかたちを作っているのでしょう。
数字の背景に、それぞれの街の歩みが映し出されている。
そこが、このデータを読む一番の面白さではないかと思います。
あなたが暮らしている街、あるいは気になっている街のランキングはどうでしたか?
自分の住む街にある多文化な一面を、少し違った角度から見るきっかけになればと思います。
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補足:数字を見るときに気をつけたいこと
比率で見るか、人数で見るかで順位は変わる
この記事では「外国人比率」を基準にランキングしています。なので、1位は福岡市博多区(5.54%)になります。でも人数だけで見ると、実は福岡市東区が15,182人で県内トップです。人口が多い地域では、比率がそこまで高くなくても、在留外国人の人数は多くなります。ここは、数字を見るときに少し注意したいところです。
国籍別の数字だけでは、街の全部はわからない
国籍別の人数を見ると、「この地域にはこの国の人が多いんだ」と分かります。ただ、同じ国籍でも、留学で来ている人、仕事で来ている人、家族で暮らしている人、長く日本に住んでいる人など、背景はさまざまです。なので、数字はあくまで入口です。そこから街の歴史や暮らし方を見ていくと、だんだん面白くなってくるのだと思います。
「外国人が多い街」といっても、中身はかなり違う
博多区・東区は日本語学校・専門学校が集まる留学生の街、苅田町は製造業が呼び込む技能実習・特定技能の方々が中心、久留米市はゴム産業の歴史に根ざしたフィリピンコミュニティ、北九州市は関門海峡をまたいだ歴史的つながりを持つ韓国・朝鮮籍の存在感が大きい——と、それぞれの構造はまったく異なります。同じ「外国人が多い街」でも、背景まで見るとかなり印象が変わります。
データの時点は完全にはそろっていない
今回使っているデータは、在留外国人数が2025年6月末時点、住民基本台帳人口が2023年のものです。そのため、外国人比率は厳密な最新値というより、「地域ごとの傾向を見るための目安」として見てもらえるとよいと思います。
データ出典・補助出典
・出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
・総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」住民基本台帳人口(2023年)
・出入国在留管理庁「外国人留学生の受け入れ状況等について」
・出入国在留管理庁「技能実習・特定技能制度に関する統計」
本記事に掲載しているデータは、公的統計に基づく数値です。特定の地域や人々への評価・優劣の判断を目的とするものではありません。