この記事でわかること
- 和歌山県30市町村の外国人比率ランキングTOP20
- 高野町・白浜町・和歌山市など注目エリアの国籍別内訳と背景
- 国籍別(韓国・中国・ベトナム・フィリピン)の集住エリアランキングとその理由
- 関西の他の都道府県との比較
紀伊山地の霊場と参詣道、熊野古道、世界遺産・高野山——和歌山県は、歴史と自然が重なり合う土地です。観光や移住の人気が高まるなか、外国人の居住状況も少しずつ変化してきています。
2025年6月末時点で、和歌山県に住む在留外国人は10,736人。住民基本台帳人口(2023年)913,297人に占める外国人比率は1.2%で、関西6府県のなかで最も低い水準です。大阪府(4.1%)や京都府(3.6%)と比べると、その差は歴然としています。
では、和歌山県のなかで外国人が多く暮らしているのはどのエリアなのでしょうか。
比率で見ると、宗教的な背景を持つ高野町がトップ、次いでリゾート地の白浜町が続くという、いかにも和歌山らしい結果になっています。
この記事では、法務省・総務省のデータをもとに、市町村別の外国人比率ランキングと国籍別の集住エリアを解説します。数字の背景にある歴史・産業・文化も合わせて読んでいただけると、同じ地域で暮らす人たちのことが少し深く見えてくるかもしれません。
和歌山県・外国人比率ランキングTOP20
外国人比率とは「住民基本台帳人口に占める在留外国人の割合」のこと。
人数が多くても人口規模が大きければ比率は低くなります。比率と人数、どちらで見るかによって印象は変わりますので、両方を合わせて確認してみてください。

| 順位 | 市町村 | 在留外国人数 | 住基人口(2023年) | 外国人比率 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 高野町 | 89人 | 2,676人 | 3.3% | 約30人に1人 |
| 2 | 白浜町 | 597人 | 20,161人 | 3.0% | 約33人に1人 |
| 3 | 那智勝浦町 | 232人 | 13,778人 | 1.7% | 約59人に1人 |
| 4 | 御坊市 | 357人 | 21,540人 | 1.7% | 約59人に1人 |
| 5 | みなべ町 | 175人 | 11,767人 | 1.5% | 約67人に1人 |
| 6 | 古座川町 | 32人 | 2,363人 | 1.4% | 約71人に1人 |
| 7 | 岩出市 | 731人 | 54,059人 | 1.4% | 約71人に1人 |
| 8 | 和歌山市 | 4,749人 | 356,472人 | 1.3% | 約77人に1人 |
| 9 | 印南町 | 98人 | 7,757人 | 1.3% | 約77人に1人 |
| 10 | すさみ町 | 43人 | 3,607人 | 1.2% | 約83人に1人 |
| 11 | 太地町 | 33人 | 2,844人 | 1.2% | 約83人に1人 |
| 12 | 紀の川市 | 685人 | 59,578人 | 1.1% | 約91人に1人 |
| 13 | 橋本市 | 662人 | 59,475人 | 1.1% | 約91人に1人 |
| 14 | 由良町 | 56人 | 5,183人 | 1.1% | 約91人に1人 |
| 15 | 新宮市 | 272人 | 26,333人 | 1.0% | 約100人に1人 |
| 16 | 広川町 | 64人 | 6,545人 | 1.0% | 約100人に1人 |
| 17 | 有田市 | 238人 | 25,721人 | 0.9% | 約111人に1人 |
| 18 | 紀美野町 | 72人 | 7,912人 | 0.9% | 約111人に1人 |
| 19 | 美浜町 | 57人 | 6,452人 | 0.9% | 約111人に1人 |
| 20 | かつらぎ町 | 133人 | 15,625人 | 0.9% | 約111人に1人 |
出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
高野町・白浜町が突出して高く、3位以下は1%台前半に集中しています。
県庁所在地の和歌山市でさえ1.3%にとどまるあたり、和歌山県全体の外国人比率の低さが伝わってくるのではないでしょうか。
外国人比率が高いエリア3選:数字の背景を読み解く
1位:高野町(外国人比率3.3%)——宗教都市に見える、独自の国籍構成

高野町は和歌山県内で最も外国人比率が高く、住民の約30人に1人が外国人です。在留外国人89人の内訳を見ると、ミャンマー人が34人と最多を占め、次いで中国人(18人)、ベトナム人(9人)、フィリピン人(6人)、インドネシア人(3人)と続きます。
高野町には弘法大師・空海が開いた真言密教の聖地・高野山があります。ユネスコの世界遺産にも登録されており、世界各地から仏教関係者や修行者が訪れる場所です。
ミャンマーは仏教徒が多い国として知られており、宗教都市・高野山という地域の性格と重ねて見ると、興味深い分布だと思います。高野山には世界各地から仏教関係者や修行者が訪れるため、宗教文化への関心を持つ外国人が長く滞在するケースもあると考えられます。高野山内には外国人向けの宿坊や語学対応の案内も整備されており、そうした環境が長期滞在を後押ししている背景のひとつかもしれません。
絶対数は89人と少ないながら、高野町という宗教都市の性格が、他の市町村にはない独自の国籍構成をつくり出しているように見えます。和歌山県内でもかなり個性的な分布で、数字の背後にある文化的な文脈を想像すると、なんだか面白いなと思います。
2位:白浜町(外国人比率3.0%)——リゾート地に広がる多国籍な就労コミュニティ
白浜町は住民の約33人に1人が外国人で、在留外国人597人の内訳はベトナム人(130人)・中国人(103人)・ネパール人(102人)・インドネシア人(65人)・ミャンマー人(42人)と、多国籍が混在しています。

白浜町は和歌山県を代表するリゾート地です。白良浜海水浴場、アドベンチャーワールド、温泉街と、観光施設が県内随一の密度で集積しています。そのため、宿泊・飲食・テーマパーク関連の業種での外国人雇用が進んでおり、技能実習や特定技能の在留資格を持つアジア系外国人が多く働いていると考えられます。
特定技能制度は2019年に創設され、宿泊・外食・農業など人手不足が深刻な分野で即戦力として働くことを認める制度です(参照:出入国在留管理庁「特定技能について」)。観光シーズンには人手が集中するリゾートエリアで、こうした在留資格の活用が広がっているのではないでしょうか。
ベトナム・ネパール・インドネシア・ミャンマーと、どの国も比較的多い点が白浜町の特徴です。ひとつの国が突出せず、多国籍がバランスよく混在している構成は、高野町の宗教コミュニティとはかなり異なる印象です。
8位:和歌山市(外国人比率1.3%)——県内の中心地に集まる、4,749人
和歌山市は比率では8位ですが、在留外国人4,749人と県内で圧倒的な絶対数を誇ります。
県全体の在留外国人10,736人のうち約44%が和歌山市に集中している計算です。

国籍別では韓国人(1,095人)が最多で、次いでベトナム人(914人)・中国人(770人)・フィリピン人(356人)・タイ人(343人)と続きます。なお、朝鮮籍(87人)を含めると韓国・朝鮮籍は計1,182人になります。
和歌山市は県庁所在地として行政・商業・工業が集積しており、製造業や飲食・小売業での外国人雇用が広がっています。韓国・朝鮮籍が最多という傾向は大阪・兵庫と共通しており、戦前・戦後から続く定住コミュニティの存在が反映されていると考えられます。
一方で、タイ人も343人と国籍別の上位に入っている点が和歌山市の特徴的なデータです。製造業や飲食業を中心に、特有のコミュニティが形成されているのかもしれません——その詳細は、もう少し深く調べてみたいところです。
国籍別で見る外国人集住エリア
同じ和歌山県内でも、どの国籍の方が多く暮らしているかはエリアによってかなり異なります。国籍ごとの集住パターンを見ていきましょう。
韓国・朝鮮籍が多い街 TOP5
なぜそこに集まるのか
韓国・朝鮮籍の方の集住には、戦前・戦後の歴史的な経緯が背景のひとつとして挙げられることがあります。和歌山県では製造業や漁業などが盛んな地域で、長く暮らしてきた定住コミュニティが形成されてきたと考えられます。

和歌山市が1,182人と最も多いのは、県内最大の都市として雇用や生活インフラが整っていることが影響しているのではないでしょうか。
2位の岩出市(112人)は、大阪・和歌山間のベッドタウンとして近年人口が増加しているエリアです。交通の利便性と住宅地としての整備が進むなか、外国人居住者も増えているのかもしれません。
中国籍が多い街 TOP5
中国籍の方は和歌山市に集中しているほか、白浜町(103人)が2位に入っています。

白浜町は観光業での雇用が多く、ホテルや旅館での技能実習・特定技能として来日した中国人が含まれると考えられます。
3位の海南市(85人)は、和歌山市に隣接した工業都市で、化学・製造業が集積するエリアです。製造業での就労を目的とした中国人の居住が増えているのではないかと思われます。
ベトナム籍が多い街 TOP5
ベトナム籍の方が特に多いのが、橋本市(224人)と紀の川市(210人)です。

両市はいずれも奈良県境に近い内陸部に位置し、製造業や農業が盛んなエリアです。
ベトナム人の技能実習生が農業分野(果樹・野菜)や製造業で働くケースが多く、和歌山県の主要産品である梅・みかん・柿などの産地として知られる地域と重なっているのは偶然ではないかもしれません。
2010年代後半から急増したベトナム人の技能実習生は、現在では日本全国の技能実習生のなかで最大の国籍グループを占めています(参照:出入国在留管理庁「技能実習制度の概要」)。和歌山県でもその傾向は顕著で、農業産地を中心にベトナム人コミュニティが形成されつつあるように見受けられます。
フィリピン籍が多い街 TOP5
フィリピン籍の方は県内各地に分散している印象があります。和歌山市(356人)が最多ですが、田辺市(115人)・新宮市(81人)・御坊市(79人)と沿岸部の都市にも集まっています。
フィリピン人の場合、配偶者や定住者としての在留資格で長く日本に住む方も多く、漁業・水産業との関わりが指摘されることがあります。

新宮市・御坊市はいずれも漁港を持つ沿岸部の都市であり、そうした産業との関わりが居住地の分布に影響している可能性も考えられます。
日本とフィリピンの間には1956年に平和条約・賠償協定が締結されて以降、長年にわたる人的交流の歴史があります。定住者・永住者として長く暮らしている方が多い国籍のひとつなのだと思います。
まとめ
和歌山県の在留外国人は2025年6月末時点で10,736人、比率は1.2%と関西6府県のなかで低い水準です。ただ、数字の内側を見ると、エリアによってかなり異なる顔が見えてきます。
宗教都市・高野山という地域性のなかでミャンマー人の割合が目立つ高野町、白浜町ではリゾート観光業を背景に多国籍の外国人が暮らし、橋本市・紀の川市では農業・製造業との関わりのなかでベトナム人コミュニティが形成されつつある。同じ「和歌山県に住む外国人」でも、そこに至った経緯や日常の暮らし方はまったく異なるはずです。
比率だけでは見えない部分も多いですが、数字を入口にして街の歴史や産業を辿っていくと、同じ地域で暮らす人たちのことがだんだんと立体的に見えてくるのではないでしょうか。
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補足:数字を見るときに気をつけたいこと
比率で見るか、人数で見るかで順位は変わる
この記事では「外国人比率」を基準にランキングしています。なので、1位は高野町になります。でも人数だけで見ると、実は和歌山市が4,749人で県内トップです。人口が多い地域では、比率がそこまで高くなくても、在留外国人の人数は多くなります。ここは、数字を見るときに少し注意したいところです。
国籍別の数字だけでは、街の全部はわからない
国籍別の人数を見ると、「この地域にはこの国の人が多いんだ」と分かります。ただ、同じ国籍でも、留学で来ている人、仕事で来ている人、家族で暮らしている人、長く日本に住んでいる人など、背景はさまざまです。なので、数字はあくまで入口です。そこから街の歴史や暮らし方を見ていくと、だんだん面白くなってくるのだと思います。
「外国人が多い街」といっても、中身はかなり違う
高野町は宗教都市・高野山という地域性のなかでミャンマー人の割合が目立つ街、白浜町は観光リゾートの雇用を背景に多国籍が混在するコミュニティ、橋本市・紀の川市は農業・製造業との関わりのなかでベトナム人が多く暮らすエリア——同じ「外国人が多い街」でも、背景まで見るとかなり印象が変わります。
データの時点は完全にはそろっていない
今回使っているデータは、在留外国人数が2025年6月末時点、住民基本台帳人口が2023年のものです。そのため、外国人比率は厳密な最新値というより、「地域ごとの傾向を見るための目安」として見てもらえるとよいと思います。
データ出典
・出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
・総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」住民基本台帳人口(2023年)
・出入国在留管理庁「特定技能について」
・出入国在留管理庁「技能実習制度の概要」
・文化庁「紀伊山地の霊場と参詣道(世界遺産)」
※本記事に掲載しているデータは、公的統計に基づく数値です。特定の地域や人々への評価・優劣の判断を目的とするものではありません。また、在留外国人数(2025年6月)と住民基本台帳人口(2023年)は調査時点が異なるため、実際の比率と若干の差異が生じる場合があります。