この記事でわかること
- 奈良県の在留外国人20,411人を在留資格別に分類した構成
- 年齢分布から見える奈良の外国人コミュニティの実態(参考値)
- 奈良市・天理市・大和郡山市・安堵町・橿原市のエリア別在留資格の違い
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データ出典
- 法務省 出入国在留管理庁「在留外国人統計」(2025年6月末時点)
- 総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」掲載の住民基本台帳人口(2023年)
はじめに:ベッドタウンのイメージとは異なる、就労型28%の実態
2025年6月末時点で、奈良県の在留外国人は20,411人です。関西6府県の中では和歌山県に次いで少ない規模ですが、在留資格別のデータには奈良ならではの特徴が表れています。
まず目を引くのが就労型の高さです。特定技能1号(10.9%)と技能実習合計(17.1%)を合わせると28.0%にのぼり、大阪(約10%)や京都(約12%)と比べても格段に高い水準です。大阪・京都のベッドタウンとして「静かな住宅地」のイメージが強い奈良ですが、製造業・農業・建設業の現場では就労系外国人が着実に増えています。
また在留資格の1位が永住者(18.5%)で、特別永住者(12.3%)を上回っているのも奈良の特徴です。大阪・兵庫・京都では特別永住者が最多または同水準でしたが、奈良では永住者が上回っており、中国系・フィリピン系を中心とした永住者コミュニティが相対的に厚い構造を示しています。
在留資格の用語解説については関西6府県まとめ版の記事もあわせてご参照ください。
奈良県の在留資格構成TOP10
| 順位 | 在留資格 | 人数 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 永住者 | 3,777人 | 18.5% |
| 2 | 特別永住者 | 2,519人 | 12.3% |
| 3 | 特定技能1号 | 2,228人 | 10.9% |
| 4 | 技術・人文知識・国際業務 | 2,133人 | 10.5% |
| 5 | 技能実習2号ロ | 2,127人 | 10.4% |
| 6 | 留学 | 1,978人 | 9.7% |
| 7 | 家族滞在 | 1,419人 | 7.0% |
| 8 | 技能実習1号ロ | 1,076人 | 5.3% |
| 9 | 日本人の配偶者等 | 900人 | 4.4% |
| 10 | 定住者 | 385人 | 1.9% |
永住者(18.5%)と特別永住者(12.3%)を合わせた定住型は30.8%と、大阪(36.8%)・兵庫(41.3%)・京都(32.8%)と比べてやや低めです。その分、特定技能1号(10.9%)・技能実習合計(17.1%)という就労型が計28.0%と高く、奈良の外国人コミュニティは就労層が大きな比重を占めています。
奈良県の年齢分布(参考値)
※奈良県の年齢別データは統計の集計上、全体20,411人のうち約27%(5,533人)分のみ公開されています。以下の数値は参考値としてご覧ください。
| 年齢 | 人数(参考) | 比率(参考) |
|---|---|---|
| 0~4歳 | 128人 | 0.6% |
| 5~9歳 | 122人 | 0.6% |
| 10~14歳 | 107人 | 0.5% |
| 15~19歳 | 159人 | 0.8% |
| 20~24歳 | 924人 | 4.5% |
| 25~29歳 | 910人 | 4.5% |
| 30~34歳 | 731人 | 3.6% |
| 35~39歳 | 487人 | 2.4% |
| 40~44歳 | 391人 | 1.9% |
| 45~49歳 | 293人 | 1.4% |
| 50~54歳 | 270人 | 1.3% |
| 55~59歳 | 244人 | 1.2% |
| 60~64歳 | 215人 | 1.1% |
| 65~69歳 | 161人 | 0.8% |
| 70~74歳 | 144人 | 0.7% |
公開データの範囲内では、20〜24歳と25〜29歳がいずれも4.5%と最多層で、若い就労・学習層が中心であることが読み取れます。ただし上述の通りデータは全体の約27%分のため、傾向の参考としてご活用ください。
注目エリア5選:在留資格で見る5つの顔
奈良市:永住者22.4%——バランス型の県庁所在地
奈良市の在留外国人5,533人は、永住者(1,238人・22.4%)・留学(671人・12.1%)・特別永住者(657人・11.9%)・技術・人文知識・国際業務(506人・9.1%)の順です。
県内で最多の絶対数を持つ奈良市は、定住型・学習型・就労型がバランスよく混在しています。奈良女子大学・近畿大学農学部など大学のある街として留学12.1%も一定数おり、古都の歴史的環境の中で多様な背景の外国人が共存しています。
天理市:技術人文国際16.5%——大学と宗教が生む独自の構成
天理市の在留外国人1,332人は、技術・人文知識・国際業務(220人・16.5%)・永住者(201人・15.1%)・特定技能1号(169人・12.7%)・留学(135人・10.1%)の順です。
このシリーズで分析した関西のエリアの中で、技術人文国際が最多となったのは天理市だけです。この特徴は天理大学と天理教の存在が背景にあります。天理大学は体育・スポーツ系で国際的な実績を持ち、外国人コーチ・アスリート・研究者が「技術人文国際」資格で在籍するケースが多いとみられます。また天理教は世界各地に信者を持ち、海外からの関係者が宗教法人の活動として就労・滞在するケースも含まれています。奈良県内でも際立って独自の在留資格構成です。
大和郡山市:特定技能20.6%——製造業が牽引する就労特化
大和郡山市の在留外国人1,388人は、特定技能1号(286人・20.6%)・永住者(260人・18.7%)・技術・人文知識・国際業務(181人・13.0%)・技能実習2号ロ(176人・12.7%)の順です。
特定技能20.6%は5エリアの中で最高です。金魚の産地として知られる大和郡山市ですが、製造業も盛んなエリアで、特定技能・技能実習を合わせた就労型が33%以上を占めます。歴史的な永住者コミュニティ(18.7%)と新しい就労層が共存しており、奈良県内の就労型外国人集積の中心地といえます。
安堵町:技能実習46.0%——就労特化エリアの極点
安堵町の在留外国人385人は、技能実習2号ロ(122人・31.7%)・特定技能1号(65人・16.9%)・技能実習1号ロ(55人・14.3%)・技術・人文知識・国際業務(50人・13.0%)の順です。
技能実習2号ロと技能実習1号ロを合わせた技能実習だけで46.0%と、外国人の約半数が技能実習生という構成は5エリアの中で最も就労特化しています。絶対数は385人と少ないものの、奈良盆地の製造業・農業施設が集積するエリアとして、技能実習・特定技能の就労者が集住しています。奈良県のランキング記事でも外国人比率1位(5.5%)となったエリアです。
橿原市:留学20.9%——奈良第2の都市の国際性
橿原市の在留外国人1,766人は、留学(369人・20.9%)・永住者(266人・15.1%)・特別永住者(240人・13.6%)・技能実習2号ロ(146人・8.3%)の順です。
奈良市に次ぐ県内第2位の人口を持つ橿原市では、留学20.9%が最多となっており、大学・専門学校への留学生の存在感が大きいことがわかります。定住型(永住者+特別永住者=28.7%)も厚く、歴史的なコミュニティと学習層が共存する、奈良市に次ぐバランス型のエリアです。
まとめ
奈良県の在留外国人20,411人は、在留資格の視点から「就労型の比率が高い」という特徴が際立っています。特定技能(10.9%)と技能実習(17.1%)を合わせた28.0%は、大阪・京都を大きく上回る水準です。ベッドタウンとしての住宅地のイメージとは異なり、製造業・農業の現場では就労系外国人が奈良の産業を支えています。
エリアごとの顔は多様で、天理市の「技術人文国際最多」という独自性、大和郡山市・安堵町の就労特化型、奈良市・橿原市のバランス型と、小さな県内にも異なるコミュニティが共存しています。
奈良県内のより詳しい外国人分布データは奈良県で外国人が多い街ランキングもあわせてご覧ください。
データ出典・免責事項
- 在留外国人数・在留資格・年齢:法務省 出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
- 総人口:総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」掲載の住民基本台帳人口(2023年)
本記事に掲載しているデータは法務省「在留外国人統計」の市区町村×在留資格×年齢の公開データを集計したものです。年齢分布は公開データの一部(約27%)のみを掲載した参考値です。特定の地域や人々への評価・優劣の判断を目的とするものではありません。また、在留外国人数(2025年6月)と住民基本台帳人口(2023年)は調査時点が異なるため、実際の比率と若干の差異が生じる場合があります。

