この記事でわかること
- 愛知県54市町村(名古屋市は16区別)の外国人比率ランキングTOP20
- 名古屋市中区・豊橋市・豊田市・高浜市・岡崎市の国籍別内訳と背景
- 国籍別(ベトナム・ブラジル・フィリピン・中国・韓国・ネパール)の集住エリアTOP5
- ブラジルとベトナムの比較から見る「定住化のロードマップ」
- 育成就労制度への移行と、地域が抱える「子どもの教育」という課題
日本を代表する「ものづくり県」として知られる愛知県。
自動車産業をはじめとする巨大な製造業の集積地であるこの場所には、古くから多くの外国籍の方々が暮らし、地域の産業や暮らしの中で存在感を高めてきました。
実際に街を歩いてみると、ポルトガル語の看板やベトナム料理店、そして多国籍な子どもたちの声に触れる機会も多いのではないでしょうか。
最新のデータによると、愛知県内の在留外国人数は345,900人。県全体の人口に対する比率は4.61%となっており、実に凡そ22人に1人が外国籍という計算になります。
都道府県別の外国人人口では、東京都(約77.5万人)、大阪府(約36万人)に次ぐ全国3位の規模です。東京23区全体の外国人比率(約6.7%)には及ばないものの、都道府県単位では全国でも高い水準にあります(参照:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在)。
愛知県の在留外国人の特徴は、かつて中心だったブラジル籍に加えて近年はベトナム籍が急増し、フィリピン、中国を含めた4カ国が大きな柱となっている点にあります。
しかし、詳しくデータを紐解いていくと製造業が盛んな三河エリアと、商業・サービス業が中心の名古屋市内では、住んでいる人々の国籍も在留資格も、驚くほど異なる表情を見せてくれます。
「外国人が多い街」とひとくくりにされがちな愛知県。
その内側では、どのような変化が起きているのでしょうか。数字の背景にある「今」を、読者の皆さんと一緒に驚きながら見ていきたいと思います。
愛知県・外国人比率ランキングTOP20
ランキングを見る前に、ひとつ面白いポイントがあります。
それは「比率」と「人数」で順位が大きく入れ替わることです。比率で1位になったのは名古屋市の中心部ですが、純粋な人数で見ると、自動車産業の中心地である豊田市が県内最多となります。
ここでは、まず「街の何人に一人が外国人なのか」という視点で、外国人比率ランキングTOP20をご紹介します。

| 順位 | 市区町村 | 在留外国人数 | 住基人口(2023年) | 外国人比率 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 名古屋市中区 | 11,974人 | 95,845人 | 12.49% | 約8人に1人 |
| 2 | 飛島村 | 521人 | 4,711人 | 11.06% | 約9人に1人 |
| 3 | 高浜市 | 4,967人 | 49,249人 | 10.09% | 約10人に1人 |
| 4 | 碧南市 | 6,932人 | 72,534人 | 9.56% | 約10人に1人 |
| 5 | 名古屋市港区 | 12,187人 | 142,160人 | 8.57% | 約12人に1人 |
| 6 | 知立市 | 6,094人 | 72,214人 | 8.44% | 約12人に1人 |
| 7 | 岩倉市 | 3,893人 | 47,839人 | 8.14% | 約12人に1人 |
| 8 | 小牧市 | 11,809人 | 149,715人 | 7.89% | 約13人に1人 |
| 9 | 西尾市 | 12,989人 | 170,258人 | 7.63% | 約13人に1人 |
| 10 | 豊明市 | 4,684人 | 68,038人 | 6.88% | 約15人に1人 |
| 11 | 弥富市 | 2,968人 | 43,722人 | 6.79% | 約15人に1人 |
| 12 | 名古屋市中村区 | 8,841人 | 136,097人 | 6.50% | 約15人に1人 |
| 13 | 豊橋市 | 22,957人 | 368,686人 | 6.23% | 約16人に1人 |
| 14 | 名古屋市南区 | 8,031人 | 132,797人 | 6.05% | 約17人に1人 |
| 15 | 蟹江町 | 2,188人 | 37,098人 | 5.90% | 約17人に1人 |
| 16 | 豊田市 | 23,402人 | 416,383人 | 5.62% | 約18人に1人 |
| 17 | 名古屋市東区 | 4,531人 | 83,832人 | 5.40% | 約19人に1人 |
| 18 | みよし市 | 3,039人 | 61,427人 | 4.95% | 約20人に1人 |
| 19 | 豊川市 | 9,164人 | 186,376人 | 4.92% | 約20人に1人 |
| 20 | 名古屋市千種区 | 7,774人 | 159,792人 | 4.87% | 約21人に1人 |
出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
1位は名古屋市の中心、中区となりました。比率は12.49%で、約8人に1人が外国人という高い水準です。2位の飛島村は、絶対数こそ521人と多くはないものの、村全体の人口が少ないため、港湾エリアの工業地帯で働く方々の存在感が比率として強く表れています。
一方で、16位の豊田市は比率こそ5.62%ですが、在留外国人数は23,402人と、県内54市町村で最多です。大きな街の中に、ひとつの「外国籍市民の都市」が内包されているようなスケール感を感じませんか?
注目エリア5選:数字から見える街の「性格」
ランキング上位や特徴的な動きを見せる5つの街をピックアップしました。それぞれの「中身」を見ていくと、愛知県が持つ多様な顔が見えてきます。
①名古屋市中区(外国人比率12.49%)――多国籍な賑わいを見せる、中部の心臓部
名古屋の繁華街・栄や、カルチャーの交差点・大須を抱える中区。
ここはまさに「都市型」の集住エリアです。

中区の特徴は、中国籍とネパール籍の多さです。ネパール籍の割合は約2割と高く、都心部にまとまった居住傾向が見られます。留学や就労をきっかけに、サービス業や都市部の仕事に関わる方も多いと考えられます。大須の多国籍な雰囲気は、こうした「都市を彩る人々の暮らし」があってこそ成立しているのかもしれません。
②豊橋市(外国人比率6.23%)――定住化が進んだ、日系ブラジル人の街
東三河の中心都市・豊橋。
ここは、1990年の入管法改正以来、日系人を受け入れてきた歴史を肌で感じられる街です。
豊橋に暮らすブラジル人(9,133人)の内訳を見ると、驚くべき事実がわかります。
なんと、約91%(永住者45.7%、定住者45.2%)が、すでに長期定住を前提とした資格で暮らしています。配偶者系まで含めると、長期的に暮らす方が大多数を占めています。
「出稼ぎ」という言葉はもはや遠い過去のもの。豊橋のブラジル人コミュニティは、世代を超えて地域で長く暮らしてきた、非常に安定した姿を見せているんだろうなと思います。
③豊田市(外国人比率5.62%)――8カ国が拮抗する「多国籍ダイバーシティ」
「クルマの街」豊田。
ここは愛知県内で最も多くの外国籍住民が暮らすマンモスシティです。
豊田市の面白さは、その「国籍のバラエティ」にあります。ブラジル人が最多(31.2%)ではあるものの、ベトナム(18.5%)、フィリピン(11.4%)、中国(10.1%)と続き、実に8カ国の構成比が2.9%以上となっています。

トヨタ自動車とその関連企業の現場では、世界中から来た人々が肩を並べて働いています。まさに「グローバルな産業拠点」としての顔が、住民構成にそのまま現れているように感じます。
④高浜市(外国人比率10.09%)――新旧のコミュニティが交差する、瓦の街
三州瓦の産地として有名な高浜市。
10人に1人が外国人というこの街では、興味深い構図が見られます。ベトナム籍(34.7%)とブラジル籍(33.2%)がほぼ同数で拮抗しているのです。高浜では、長く暮らすブラジル人コミュニティと、近年増えているベトナム人コミュニティが、地域の産業と深く結びついています。そんな「時代の移り変わり」が、この数字には凝縮されているのかもしれません。
⑤岡崎市――主要国籍が集まる、三河のハブ都市
今回のデータで改めて注目したいのが、岡崎市です。
- ブラジル人:4,811人(県内3位)
- ベトナム人:2,433人(県内4位)
- フィリピン人:2,336人(県内3位)
主要3国籍のすべてで県内トップクラスの人数を擁する岡崎市は、まさに「三河の結節点」といえる存在です。豊橋と豊田の中間に位置し、強固な製造業基盤を持つこの街には、あらゆるコミュニティが集まりやすい土壌があるのでしょう。特定の国籍に偏らず、多様な人々がバランスよく共生している点が、岡崎の大きな強みなのかもしれません。
国籍別で見る外国人集住エリア
国籍によって「選ぶ街」はかなり違います。職場へのアクセス、コミュニティの有無、そして生活の利便性。それぞれの理由をデータから見ていきましょう。
ベトナム人が多い街 TOP5

今や愛知県で最も人数の多い国籍となったベトナム。三河の製造業拠点だけでなく、尾張エリア(小牧・春日井)にも広く分散しているのが特徴です。
ブラジル人が多い街 TOP5

見事に「三河地区」に集中しています。1990年代から続く日系コミュニティがベースとなっており、親、子、孫と世代を重ねて地域で長く暮らしてきた家族も多いのが特徴です。ブラジル人学校やブラジル食材店が充実しているこのエリアは、彼らにとって日本における「故郷」のような場所になっているのでしょう。
ネパール人が多い街 TOP5

名古屋市内に集中した居住傾向が見られます。特に名古屋駅に近い中村区や中区に多く、飲食業をはじめ、都市のさまざまな場面で暮らし、働いている方々が多いようです。
在留資格から見る「定住化のロードマップ」
愛知県に暮らす外国人の在留資格を比較すると、コミュニティが今どのような段階にあるのかが浮き彫りになります。特にブラジルとベトナムの対比は非常に象徴的です。
ブラジル人:定住化が進んだコミュニティ
ブラジルの方々は、永住者と定住者だけで全体の約91%を占めます。日本人の配偶者等まで含めると、約99.5%が長期的に暮らす方々です。期限付きの就労資格や留学などは全体の約0.5%にすぎません。

1990年代の定住以来、世代を超えて地域で長く暮らしてきたブラジル人コミュニティ。在留資格の構成は、その積み重ねを数字で示しているといえるでしょう。
ベトナム人:過渡期にある新しいコミュニティ

対照的にベトナムの方々は、約70%が就労・研修系(技術・人文知識・国際業務 25.1%、特定技能 19.4%、技能実習全種 25.5%)で占められています。
ここで注目したいのは、2024年に成立した「育成就労制度」です。
従来の技能実習制度を廃止し、より長期的なキャリア形成と定住を見据えた育成就労制度へと移行する法律が成立し、2027年4月1日の施行に向けて段階的な準備が進んでいます(参照:出入国在留管理庁「育成就労制度」)。
今後、育成就労制度への移行や家族滞在の増加によって、ベトナム人コミュニティの定住化がどのように進むのかは、注目すべきポイントといえるでしょう。
年齢分布と、地域が抱える「子どもの教育」という課題
愛知県の在留外国人のデータで、最も重要かつ考えさせられるのが年齢分布です。

出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
20代〜30代の若年層が中心であることは予想通りですが、注目すべきは0〜14歳の子どもたちが全体の8.4%(約2.9万人)もいるという事実です。これは、彼らが「単身の労働者」ではなく、ここで子どもを産み、育てている「生活者」であることを示しています。
しかし、この数字の背景には課題もあります。
愛知県では、外国にルーツを持つ子どもへの日本語支援や就学支援が、以前から重要なテーマとして扱われてきました。言葉の壁や経済的な事情から、学びの機会を十分に得られない子どもたちが一定数存在することは、文部科学省の「外国人の子供の就学状況等調査」などでも継続的に報告されています(参照:文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査」)。
行政やNPOによる対策も進んでいますが、11%という数字は、「となりに暮らす家族」が直面している課題の大きさを示しているんだなと思います。
愛知県で暮らし、学び、成長する次世代の子どもたちを、社会全体でどう支えていくかが問われています。
まとめ:二つのコミュニティが紡ぐ、愛知の未来
愛知県の在留外国人の実態を、データから紐解いてきました。
こうして見ると、愛知県は決して一色ではなく、新旧二つの層が重なり合って成り立っていることがわかります。
定住化が進んだコミュニティ(ブラジルなど): 数十年かけて根を下ろし、長期在留者が大多数を占める、地域の不可欠な一員。
形成途上のコミュニティ(ベトナム・ネパールなど): 現在、産業やサービス業の場で活躍しながら、これから定住化へのステップを進もうとしている新しい存在。
比率1位の中区で見られる都市型の賑わい。人数1位の豊田市が持つ産業の底力。
そして、岡崎市のように多様な国籍が混ざり合う三河の結節点。それぞれの街が、それぞれのやり方で多様性を受け入れ、新しい日本の姿を模索しています。
「外国人が多い街」という言葉。
その裏側にある、制度の大きな転換期、そして子どもたちの未来。ふとした瞬間に、となりに暮らす人たちの背景に思いを馳せてみると、いつもの景色が少しだけ深く、違って見えるかもしれません。
他の都県を見る
補足:数字を見るときに気をつけたいこと
比率と人数の違い
この記事では「外国人比率」を基準にランキングしています。比率1位は名古屋市中区(12.49%)ですが、人数で言えば豊田市(23,402人)が県内トップです。街の規模によって、数字のインパクトが変わる点に注目してみてください。
「定住」の深さを読み解く
ブラジル人の9割以上が永住・定住者であるのに対し、ベトナム人は7割が就労・研修系です。同じ「外国人が多い」という現象でも、そのコミュニティが歩んできた歴史や現在の役割は、在留資格に鮮明に表れています。
データの出典と時点について
在留外国人数は2025年6月末時点、住民基本台帳人口は2023年のものを使用しています。厳密な同時点の比較ではありませんが、地域ごとの傾向や特徴を把握するための重要な目安としてご活用ください。
データ出典・免責事項
・在留外国人数・在留資格・年齢:法務省 出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
・総人口:総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」掲載の住民基本台帳人口(2023年)
・育成就労制度:出入国在留管理庁「育成就労制度」
・外国籍児童の就学:文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査」
※本記事に掲載しているデータは、公的統計に基づく数値です。特定の地域や人々への評価・優劣の判断を目的とするものではありません。年齢分布は公開データの76.1%分(263,203人・30市区)に基づく参考値です。