この記事でわかること
- 茨城県44市区町村の外国人比率ランキングTOP20(2025年6月末時点)
- 常総市・つくば市・鉾田市・坂東市など注目エリアの国籍別内訳と、なぜその国籍が集まるのかの背景
- 国籍別(ベトナム・中国・フィリピン・ネパール・韓国)の集住エリアランキングと街の描写
- 比率と人数で見方がどう変わるか、データを読む際の注意点
茨城県の在留外国人データを見ると、合計106,490人、比率にして3.72%(約27人に1人)。
この数字は全国平均(約2.8%)を上回る水準で、茨城県でも外国籍住民の存在感が相当高まっていることがわかります。
鬼怒川沿いの農業地帯に、ポルトガル語やタガログ語の看板が並ぶ街がある。そう聞いてもピンとこなかったのですが、数字と一緒に知ると、なんだかぐっとリアルに感じられますよね。
茨城県の在留外国人は合計106,490人、比率にして3.72%(約27人に1人)。
この数字は全国平均(約2.8%)を上回る水準で、茨城県でも外国籍住民の存在感が高まっていることがわかります(参照:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末)。
ただ、「外国人が多い」といっても、県内は一様ではありません。
農業・製造業が盛んな県西・県央エリアと、世界屈指の研究機関が集まるつくば市とでは、街を歩いて聞こえてくる言語も、コミュニティの性格も、まったく別の顔を持っています。この「二極構造」こそが、茨城の在留外国人を語るうえで欠かせない視点ではないでしょうか。
この記事では、茨城県全44市区町村のデータをもとに、外国人比率ランキングTOP20を紹介しながら、注目エリア4選の背景、国籍別集住エリアまで丁寧に解説していきます。
茨城県・外国人比率ランキングTOP20
外国人「比率」は、その街の人口に占める在留外国人の割合を示しています。
人数が少なくても、街の人口が小さければ比率は高くなるため、「人数ランキング」とは順位が異なってきます。

| 順位 | 市区町村 | 在留外国人数 | 住民基本台帳人口(2023年) | 外国人比率 | 目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 常総市 | 7,217人 | 61,180人 | 11.80% | 約8人に1人 |
| 2 | 八千代町 | 2,142人 | 21,090人 | 10.16% | 約10人に1人 |
| 3 | 坂東市 | 4,849人 | 52,346人 | 9.26% | 約11人に1人 |
| 4 | 利根町 | 1,339人 | 15,427人 | 8.68% | 約12人に1人 |
| 5 | 鉾田市 | 4,079人 | 47,018人 | 8.68% | 約12人に1人 |
| 6 | 下妻市 | 3,419人 | 42,272人 | 8.09% | 約12人に1人 |
| 7 | 境町 | 1,902人 | 24,637人 | 7.72% | 約13人に1人 |
| 8 | 大洗町 | 1,192人 | 15,717人 | 7.58% | 約13人に1人 |
| 9 | 結城市 | 3,258人 | 49,936人 | 6.52% | 約15人に1人 |
| 10 | つくば市 | 14,650人 | 255,244人 | 5.74% | 約17人に1人 |
| 11 | 五霞町 | 401人 | 8,063人 | 4.97% | 約20人に1人 |
| 12 | 稲敷市 | 1,868人 | 37,692人 | 4.96% | 約20人に1人 |
| 13 | かすみがうら市 | 1,959人 | 40,369人 | 4.85% | 約21人に1人 |
| 14 | 土浦市 | 6,838人 | 141,613人 | 4.83% | 約21人に1人 |
| 15 | 龍ケ崎市 | 3,621人 | 75,509人 | 4.80% | 約21人に1人 |
| 16 | 小美玉市 | 2,292人 | 48,797人 | 4.70% | 約21人に1人 |
| 17 | 筑西市 | 4,647人 | 100,670人 | 4.62% | 約22人に1人 |
| 18 | 美浦村 | 658人 | 14,365人 | 4.58% | 約22人に1人 |
| 19 | 古河市 | 6,329人 | 140,499人 | 4.50% | 約22人に1人 |
| 20 | 行方市 | 1,398人 | 32,055人 | 4.36% | 約23人に1人 |
出典:出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末、総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」
※五霞町(401人)・利根町(1,339人)・美浦村(658人)・大洗町(1,192人)は比率上位ですが、在留外国人の絶対数が少ないため、大規模な集住地とは言えません。
外国人比率が高いエリア4選
①常総市(外国人比率11.80%)

8人に1人が外国籍——この数字、街を歩いてみないとなかなかピンとこないかもしれません。東京でも有数の外国人集住区に匹敵する水準が、関東平野の農業地帯のなかに存在しています。
常総市の国籍内訳を見ると、こんな構造が見えてきます。
| 国籍 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| ブラジル | 1,892人 | 26.2% |
| フィリピン | 1,463人 | 20.3% |
| ベトナム | 1,330人 | 18.4% |
| スリランカ | 471人 | 6.5% |
| インドネシア | 465人 | 6.4% |
ブラジル人が最多ですが、フィリピン・ベトナムが僅差で続く、いわば「三強構造」が現在の常総市の姿です。
常総市のブラジル人コミュニティの歴史は古く、1990年代の入管法改正による日系人の就労解禁にさかのぼります。製造業の需要を背景に多くの日系ブラジル人が茨城県西部に移住し、常総市はその拠点のひとつとなったとされています(参照:nippon.com「日本のブラジル人コミュニティ」)。その後、縁故採用やコミュニティのネットワークを通じて定住化が進み、現在はポルトガル語の医療通訳や教育支援なども整いつつあると見られています。
一方でフィリピン・ベトナムからの移住者の増加は比較的近年のことで、農業や食品加工の現場での技能実習・特定技能制度の活用が背景にあると考えられます(参照:出入国在留管理庁「特定技能制度の現状」)。鬼怒川沿いの工場や広大な農地で、南米系と東南アジア系の文化が自然に溶け合う独特のコミュニティが形成されているのかもしれません。
②つくば市(外国人比率5.74%)

在留外国人の実数(14,650人)では県内最多です。
比率は5.74%と常総市より低いのですが、それは人口が25万人超の都市だから。絶対数の多さは、この街のグローバルな規模感を物語っています。
| 国籍 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 中国 | 3,769人 | 25.7% |
| ベトナム | 2,130人 | 14.5% |
| インド | 1,023人 | 7.0% |
| 韓国 | 911人 | 6.2% |
つくば市には国立の研究機関が70以上集積しており、筑波大学をはじめ多くの教育機関も立地しています(参照:つくば市「科学の街・つくば」)。中国籍が全体の約4分の1を占めるのは、研究者・留学生・IT技術者の多さを反映していると考えられます。インド人(1,023人)の存在感が強いのも、IT分野の技術者や大学院生が多いためではないかと見られています。
さらに注目したいのは、韓国・米国・英国・ドイツと、文字通り世界中の国籍が分散していること。「ある国籍が突出する」というよりも、「あらゆる国の人が広く混在している」という構造が、研究都市としてのつくば市の特徴と言えそうです。
③坂東市(外国人比率9.26%)
利根川と鬼怒川に抱かれた農業の街、坂東市。
ここで注目したいのは、国籍の「モザイク感」の強さです。

特にパキスタン・バングラデシュといった南アジア系の方々が上位を占めているのは、茨城県内でも特異な傾向です。これは、家族・親族・同郷のネットワークを通じた連鎖移住が起きていると考えられるほか、地域の農業・食品産業における受け入れ態勢が整ってきたことも背景にあるのかもしれません(参考情報:NHK「外国人労働者と農業」)。
| 国籍 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| パキスタン | 713人 | 14.7% |
| ベトナム | 702人 | 14.5% |
| フィリピン | 573人 | 11.8% |
| インドネシア | 498人 | 10.3% |
| スリランカ | 416人 | 8.6% |
| バングラデシュ | 370人 | 7.6% |
特定の国籍が突出することなく、複数の国籍が比較的近い割合で並んでいる点が、坂東市の大きな特徴です。街角の看板やコミュニティからも、その多層的な文化の混在を感じることができるのではないかと思います。
④鉾田市(外国人比率8.68%)
日本有数のメロン・サツマイモの産地として知られる鉾田市。
ここのデータは、茨城の農業がどんな方々に支えられているかを、数字がはっきりと教えてくれます。

インドネシア人が全体の3分の1以上を占めるのは、茨城県内でもかなり目立つ構成です。東南アジア系が大半を占め、農業現場での技能実習・特定技能の受け入れが積極的に行われている構造がデータから見えてきます(参照:出入国在留管理庁「特定技能外国人の受け入れ状況」)。
| 国籍 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| インドネシア | 1,403人 | 34.4% |
| ベトナム | 1,010人 | 24.8% |
| 中国 | 533人 | 13.1% |
| カンボジア | 384人 | 9.4% |
インドネシアはイスラム教徒が多数を占める国であり、ハラール食への対応や礼拝スペースの確保といった文化的配慮が、受け入れ農家・自治体に求められているとも言われています(参考情報:nippon.com「日本のイスラム教徒と社会」)。鉾田市では、農業の現場と東南アジア出身の方々の暮らしが深く結びついていることが、データから見えてきます。
国籍別で見る外国人集住エリア
国籍ごとに集まるエリアを見ていくと、茨城県の産業構造や歴史が透けて見えてきます。「なぜそこに?」を考えながら眺めると、数字がぐっとリアルになるのではないでしょうか。
ベトナム人が多い地域 TOP5
ベトナム人は県内最多の国籍グループのひとつで、都市部・農業地帯・工業地帯と、エリアを問わず県全域に分散しています。まさに茨城の外国人コミュニティの「基層」を成していると言えるかもしれません。

つくば市や土浦市では大学・専門学校の留学生、古河市・常総市では農業・製造業の技能実習生・特定技能外国人が多いとされています。2010年代以降、ベトナムからの渡航者は急増しており、その分布の広さは移住の多様化を物語っています(参照:出入国在留管理庁「国籍・地域別在留外国人統計」)。
中国人が多い地域 TOP5
中国籍はつくば市への一極集中が際立っていますね。2位の土浦市(817人)との差は3,000人近くにのぼり、研究・教育都市としてのつくば市の吸引力がいかに強いかが数字に出ています。

筑波大学・産業技術総合研究所などの研究機関、そしてIT関連企業が集積するつくば市は、中国の高度人材にとっても魅力的な就労・研究先になっていると考えられます(参考情報:NHK「外国人研究者と日本」)。水戸市・ひたちなか市では商業・飲食業に従事する方々が多い傾向が見られます。
フィリピン人が多い地域 TOP5
フィリピン人の多いエリアは、茨城県西部の農工業地帯に集中しています。
常総市・古河市・筑西市はいずれも製造業・農業が盛んな地域であり、技能実習や特定技能制度を通じた就労が多いと見られています。

フィリピン人は日本全国でも定住化の進んだグループのひとつで、長期在留者や配偶者ビザでの来日者も多いとされています。
常総市ではブラジル人コミュニティと並んで、フィリピン系の礼拝施設や文化イベントも定着しつつあるという話を耳にします。
韓国人が多い地域 TOP5

韓国籍はつくば市・水戸市という都市部に集中しており、留学・研究・企業勤務の方々が多いと考えられます。
水戸市は茨城県の県庁所在地であり、商業・行政機能の集積がコミュニティ形成に寄与しているといってよいでしょう。
※本記事で使用した集計データでは、該当区分に朝鮮籍の人数が含まれていないため、ここでは韓国籍のみを掲載しています。
ネパール人が多い地域 TOP5
人口わずか約15,000人の利根町に、ネパール人が781人——これは全市区町村の中でも際立った数字です。
この町の外国人比率8.68%のうち、ネパール人が実に人口の5%超を占めています。

こうした特定の小規模自治体への集中は、先行する移住者や同郷コミュニティのネットワークによって生まれることがあります。
利根町がネパール人の集住地になった経緯は、地元の雇用機会との結びつきも含め、今後さらに注目されていく話題かもしれません。
まとめ
今回のデータを通じて見えてきたのは、茨城県の在留外国人が決してひとくくりにできない多様さを持っている、ということです。
常総市のブラジル・フィリピン・ベトナム混在コミュニティ、つくば市の研究者・留学生の集積、鉾田市の農業現場と東南アジア系コミュニティの深いつながり、坂東市のパキスタン・バングラデシュを含む南アジア多国籍コミュニティ——同じ「外国人が多い街」でも、街ごとに歴史も産業も言語も、まったく違う顔があります。
同じ地域で暮らす人たちの背景を少し知るだけで、見える景色が変わるのではないかと思います。
数字はその入口にすぎません。
この記事が、少し深く知るためのきっかけになれば嬉しいです。
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補足:数字を見るときに気をつけたいこと
比率で見るか、人数で見るかで順位は変わる
この記事では「外国人比率」を基準にランキングしています。なので、1位は常総市(11.80%)になります。でも人数だけで見ると、実はつくば市が14,650人で県内トップです。人口が多い地域では、比率がそこまで高くなくても、在留外国人の人数は多くなります。ここは、数字を見るときに少し注意したいところです。
国籍別の数字だけでは、街の全部はわからない
国籍別の人数を見ると、「この地域にはこの国の人が多いんだ」と分かります。ただ、同じ国籍でも、留学で来ている人、仕事で来ている人、家族で暮らしている人、長く日本に住んでいる人など、背景はさまざまです。なので、数字はあくまで入口です。そこから街の歴史や暮らし方を見ていくと、だんだん面白くなってくるのだと思います。
「外国人が多い街」といっても、中身はかなり違う
常総市はブラジル・フィリピン・ベトナムが共存する農工業コミュニティ、つくば市は中国・インド・韓国など世界各国の研究者・留学生が集まる学術都市、鉾田市はインドネシア・ベトナム出身者が多く、農業の現場と結びつきの深いコミュニティ、坂東市はパキスタン・バングラデシュを含む南アジア多国籍コミュニティ——同じ「外国人が多い街」でも、背景まで見るとかなり印象が変わります。
データの時点は完全にはそろっていない
今回使っているデータは、在留外国人数が2025年6月末時点、住民基本台帳人口が2023年のものです。そのため、外国人比率は厳密な最新値というより、「地域ごとの傾向を見るための目安」として見てもらえるとよいと思います。
データ出典・補助出典
出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末現在
総務省「統計でみる市区町村のすがた2025」(住民基本台帳人口2023年)
出入国在留管理庁「特定技能制度の現状について」
nippon.com「日本のブラジル人コミュニティ」
nippon.com「日本のイスラム教徒と社会」